研究課題/領域番号 |
23592605
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松下 賢治 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40437405)
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研究分担者 |
三木 篤也 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30437404)
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キーワード | 放射光微小血管造影法 / 緑内障 |
研究概要 |
眼球の裏側である球後領域は乳頭部周囲で短後毛様動脈枝がその栄養をつかさどり視神経乳頭を支えるlamina cribrosaという強膜篩状構造は眼内圧を支える重要な組織であるが、これまで十分な観察手段がなかった。われわれは球後領域微小血管系の描出をめざし放射光および回転セリウム陽極疑似単色X線診断装置の開発目指している。平成23年度はラットを全身麻酔下で頚部切開し気道確保ののち総頚動脈、内頚動脈を露出しP10チューブのカテーテルを内頚動脈に挿入した。しかし、SDラットでは既報で指摘されている内頚動脈分岐後方1cmで頭蓋内分枝血管を結紮することで血流を眼動脈に限局することが困難なため、まず外頚動脈のみの結紮で造影検査確認することを優先した。開放型造影室撮影に外部試験資格を要したが、動物施設にて実験用CTによる閉鎖型造影検査が使用可能となり、造影実験を遂行した。また、作業中リーク血管による出血のため、個体の出血死が多数発生したが、脳動脈瘤クリップにて止めることに成功し個体死亡率は減少した。その後、造影検査で血流の限局と、漏れのないことを確認ののち造影剤含有ビーズを眼球へ流し、眼球摘出固定しファントムを作成した。ファントムでは眼球のみに造影が限局した。また、眼圧上昇モデル作成は、自然発生モデルも、ジアテルミーの血管熱傷による還流障害による眼圧上昇モデルも発生効率が低い状態が続き、新たに上強膜静脈レーザー照射による高眼圧モデル作成を試み成功した。麻酔による死亡例、長期に観察後の眼球摘出では成功率が下がるものの、眼圧上昇率は100%に近いことが分かっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度、当初実験計画に必要なかった開放型造影室撮影に対する外部試験資格を要する案件の浮上にて、計画を一部修正し多光子励起顕微鏡にて視神経乳頭部を観察行った。その後、動物施設にて実験用CTによる閉鎖型造影検査が使用可能となり、造影実験を遂行した。また、作業中リーク血管による出血のため、個体の出血死が多数発生したが、脳動脈瘤クリップにて止めることに成功し個体死亡率は減少した。その後、造影検査で血流の限局と、漏れのないことを確認ののち造影剤含有ビーズを眼球へ流し、眼球摘出固定しファントムを作成した。ファントムでは眼球のみに造影が限局した。また、眼圧上昇モデル作成は、自然発生モデルも、ジアテルミーの血管熱傷による還流障害による眼圧上昇モデルも発生効率が低い状態が続き、新たに上強膜静脈レーザー照射による高眼圧モデル作成を試み成功した。麻酔による死亡例、長期に観察後の眼球摘出では成功率が下がるものの、眼圧上昇率は100%に近いことが分かっている。造影検査で血流の限局と、漏れのないことを確認ののち造影剤含有ビーズを眼球へ流し、眼球摘出固定しファントムを作成したため、昨年度よりも進行したが当初の計画よりは遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
作成したファントムモデルの解析が始まっており、Spring8への導入前に簡易な改良型CTにて作成レベルを検証し計画を推進する。また、すでに多光子励起顕微鏡での実験系で確認することとして観察に成功しているので、位置確認が困難にSHGを用い今後EGFP-GFAP mouseにより加圧実験を行う。その実験系で、緑内障薬理作用をもつ薬物(神経保護作用が報告されているベタキソロール、ニプラジロール、ブリモニジン、チモロール、ニルバジピン、ロメリジン)の血管反応を予備的に観察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
今後中大動物実験に必要な開放型CT等、造影検査に対して必要となるエックス線作業主任資格に関する問題については、他部署の資格者が立ち会うことで可能となることが確認されたため、資格者に研究協力を引き続き要請している。今後眼圧上昇モデルが組織的に緑内障モデルと適正か免疫組織学的、分子生物学的に検討を加える。ファントムモデルにおける球後性眼動脈微小血管の描出条件で、さらに生体実験へ移行する。放射光施設.. Spring8での撮像では脳血管で.. 20μmの血管まで定量的測定が可能であるため、薬物反応が測定可能である。球後の微小血管も流入部は同様の血管径であるため、緑内障薬理作用をもつ薬物(神経保護作用が報告されているベタキソロール、ニプラジロール、ブリモニジン、チモロール、ニルバジピン、ロメリジン)の血管反応を観察する。ついで、緑内障モデルラットの脳動脈造影を実施し、眼動脈から球後性眼動脈微小血管および脈絡膜血管網、網膜血管の描出が可能かどうかを検証する。特に高眼圧による球後性眼動脈微小血管系変化が神経の変化より先行する可能性を検証する。これまで生体で観察が困難な深部微小血管の描出に成功すれば、直接視神経を支配する循環状態と薬物の影響を正確に捉えることができる。それにより、循環改善を解した神経保護薬の開発に帰すると考えられる。以上の実験に必要なマウス、ラットといった実験動物と薬物購入に研究費を用いる予定である
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