研究課題
眼球の裏側である球後領域は乳頭部周囲で短後毛様動脈枝がその栄養をつかさどり視神経乳頭を支える強膜篩状構造は眼内圧を支える重要な組織である。緑内障や視神経疾患全般の病態解明のためこの球後領域微小血管系の描出は必要であるが、これまで十分な観察手段がなかった。本研究において、われわれは球後領域微小血管系の描出をめざし放射光および回転セリウム陽極疑似単色X線診断装置の開発目指した。まず、ラットを全身麻酔下で気道確保ののち総頚動脈、内頚動脈を露出しカテーテルを内頚動脈に挿入し、外頚動脈のみの結紮で造影検査を確認した。開放型造影室撮影の代わりに実験用CTによる閉鎖型造影検査である小動物実験用CTを使用することで、造影実験はより安全により簡便になった。作業中出血死は、脳動脈瘤クリップ死亡率が減少した。その後、造影検査で血流の限局と漏れのないことを確認し、ヨード含有マイクロスフェアを眼球へ流し、眼球摘出固定しファントムを作成した。眼球周辺にヨードが析出し、ヨード含有ファントム眼球モデルが作成された。本モデルは放射光施設の高解像度造影による球後性眼動脈微小血管の描出の検証に用いることができる。最終年度はその再現性を確認した。また、眼圧上昇モデル作成では、予定した眼圧上昇モデルが発生効率が低く、上強膜静脈レーザー照射による高眼圧モデル作成を試み成功した。現在、眼圧上昇率は100%に近いことが分かっている。一方、より簡便な系として多光子励起顕微鏡を用いて、マウス眼球の脱臼回旋し貯水下対物レンズを近接し深部乳頭観察に成功した。血管内皮とアストロサイトを染色し、乳頭血管網とアストロサイト網が乳頭全体にきめ細かく存在することが確認できた。本法は還流を用いるため、不安定で長時間の観察に不向きである。今後適切な生体染色技術により、球後造影法の参照データとなり簡便な薬物作用のスクリーニングが可能となる。
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