研究課題/領域番号 |
23592607
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
白石 敦 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90314963)
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研究分担者 |
小林 剛 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座助教 (70380285)
白方 裕司 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (50226320)
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キーワード | 角膜上皮 / 再生医療 / 形質転換 |
研究概要 |
本研究においては、すでにマウス角膜上皮細胞を培養することに成功し、Keratin12プロモーターによりGFPの発現するK12-Cre-ZEGマウスを用いて皮膚上皮から角膜上皮細胞への形質転換モデル角膜周辺から中央部にかけて上皮様細胞層を認め、これらの細胞はサイトケラチン(AE12/AE3)陽性であることを確認している。また、表皮特異的ケラチンK10と角膜上皮特異的ケラチンK12の免疫染色結果では、角膜中央部ではK10の発現を認めたがK12の発言は認めず、角膜輪部ではK10,K12両方の発現が認められた。また、本年度にはK12Cre/ZEGマウスより表皮Side population(sp)細胞を単離し、角膜輪部実質由来線維芽細胞との共培養にて角膜上皮様細胞(K12陽性細胞)への形質転換を試みた。結果、表皮sp細胞と輪部線維芽細胞の共培養においてGFP陽性細胞が認められ、RT-PCRによりK12遺伝子の発現が確かめられた。さらに、マウス角膜中心部実質と輪部実質由来の線維芽細胞に対してトランスクリプトーム解析を行ったところ、輪部実質由来の線維芽細胞において、Sfrp2を始めとする複数のWntシグナル関連因子mRNAの高発現が認められることが分かった。Wntシグナルは、種々の遺伝子発現を調節することが知られるシグナル伝達経路であり、輪部における上皮細胞の分化制御に関与している可能性がある。今後これらの因子が上皮細胞分化に与える影響についても検討を行いたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
前年度にはマウス表皮Side population(sp)細胞の単離を行い、形質転換モデルについて免疫組織学的に検討した結果、角膜周辺から中央部にかけて上皮様細胞層を認め、これらの細胞はサイトケラチン(AE12/AE3)陽性であった。本年度には、K12Cre/ZEGマウスより表皮Side population(sp)細胞を単離し、角膜輪部実質由来線維芽細胞との共培養にて角膜上皮様細胞(K12陽性細胞)への形質転換を試みた。結果、表皮sp細胞と輪部線維芽細胞の共培養においてGFP陽性細胞が認められ、RT-PCRによりK12遺伝子の発現が確かめられた。さらに、マウス角膜中心部実質と輪部実質由来の線維芽細胞に対してトランスクリプトーム解析を行ったところ、輪部実質由来の線維芽細胞において、Sfrp2を始めとする複数のWntシグナル関連因子mRNAの高発現が認められることが分かった。Wntシグナルは、種々の遺伝子発現を調節することが知られるシグナル伝達経路であり、輪部における上皮細胞の分化制御に関与している可能性がある。今後これらの因子の上皮細胞分化に与える影響について検討を行いう予定であり、計画は順調である。
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今後の研究の推進方策 |
前年度、マウス角膜中心部実質と輪部実質由来の線維芽細胞に対してトランスクリプトーム解析を行ったところ、輪部実質由来の線維芽細胞において、Sfrp2を始めとする複数のWntシグナル関連因子mRNAの高発現が認められることが分かった。Wntシグナルは、種々の遺伝子発現を調節することが知られるシグナル伝達経路であり、輪部における上皮細胞の分化制御に関与している可能性がある。 本年度ではマウス表皮Side population(sp)細胞を単離し、前年度の検討により輪部実質由来の線維芽細胞において高発現が認められ多因子を添加することによる、遺伝子発現の変化を検討する。K12をはじめとする角膜由来遺伝子発現を誘導することができれば、より簡便に皮膚上皮細胞から角膜上皮細胞への形質転換が可能となる可能性がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度では、マウス細胞培養、遺伝子関連試薬などに使用する予定であり、購入する物品はない。
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