研究課題/領域番号 |
23592612
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
嶋澤 雅光 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (80381721)
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研究分担者 |
原 英彰 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (20381717)
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キーワード | 緑内障 / 網膜神経節細胞 / 小胞体ストレス |
研究概要 |
申請者らはその網膜神経節細胞死に小胞体ストレス負荷を介した機序が関与しているという仮説に基づき研究を進め、その網膜障害時に小胞体ストレスが誘導されることを初めて明らかにした。さらに、in vitroスクリーニングにより小胞体ストレス細胞死を抑制する新規化合物を見出し、それらの中で保護作用の最も強力であった化合物の作用機序の解析から、その保護作用が神経栄養因子により誘導される神経分泌タンパク質であるVGF nerve growth factor inducible (VGF)遺伝子の発現を介していることを明らかにした。本研究ではこれまでの研究成果を発展させ、網膜障害におけるVGFの関与およびその機序を解明すること、さらにVGFの新規治療ターゲットとしての可能性を実験的緑内障モデルを用いて検証する。即ち、1. 正常網膜および視覚路におけるVGFの発現および網膜障害時の変化を検討する。2. 培養網膜神経節細胞および急性網膜障害モデルにおけるVGF活性ペプチドおよびVGF siRNAによる発現抑制の作用を検討する。3. VGF遺伝子導入マウス用いて急性網膜障害および慢性緑内障モデルにおける網膜・視覚中枢障害に対する作用を明らかにする。VGFは糖鎖修飾阻害剤であるツニカマイシンにより誘発した小胞体ストレスによる神経細胞障害に対して0.1µMより保護作用を示し、Aktのリン酸化更新作用を示した。これらのことから、VGFは細胞生存シグナルを活性化することにより神経細胞保護作用を発現していることが示唆された。さらに、VGFはマウス網膜全層に発現しており、自然発症緑内障モデルマスウの網膜においてVGFの発現が増加していることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題において、検討項目に上げた3項目の進行状況を以下に述べる。 ①正常網膜および視覚路におけるVGFの発現および網膜障害時の変化を検討に関して、正常マウス(C57BL/6J)および自然発症緑内障モデルマウス(DBA/2J)の15ヶ月齢の網膜におけるVGFの発現について免疫染色により検討した。正常マウスでは網膜全層にわたり弱いVGF様免疫活性がみとめらた。それに対して、緑内障モデルマウスでは網膜におけるVGFの発現が著明に増加していた。現在、サルレーザー誘発緑内障モデルについても13週後の網膜・視神経および脳のサンプルの採取を終了し、凍結薄切標本の作製を終了した。現在、VGFの発現について免疫染色により検討を進めている。 ②培養網膜神経節細胞および急性網膜障害モデルにおけるVGF活性ペプチドおよびVGF siRNAによる発現抑制の作用を検討に関して、VGF活性ペプチドがin vitroにおいて神経細胞に対して保護作用を示すことを確認した。現在、急性網膜障害モデルに対する作用について確認を進めている。 ③VGF遺伝子導入マウス用いて急性網膜障害および慢性緑内障モデルにおける網膜・視覚中枢障害に対する作用に関して、VGF遺伝子導入マウスの作製を進めている。現在、F0マウス6ラインを交配し、そのうち5ラインについてF1マウスの誕生を確認できた。その後、F2が2ライン誕生している。現在、F2マウスの各臓器におけるVGFの発現について検討を進めている。今後、VGFの過剰発現が確認できたラインについて網膜障害に対する作用を検討する予定である。以上、本研究課題は慢性モデルを用いるために組織サンプリングに少し時間を要したが、当初の通り順調に進んでおり着実に研究成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
研究概要において検討項目に上げた3項目について下記の通り継続して研究を進める ①正常網膜および視覚路におけるVGFの発現および網膜障害時の変化を検討に関して、昨年度に網膜におけるVGFの発現について検討を終了したことから、今年度は視神経および脳におけるVGFの発現を免疫染色により検討する。 ②培養網膜神経節細胞および急性網膜障害モデルにおけるVGF活性ペプチドおよびVGF siRNAによる発現抑制の作用を検討に関して、網膜神経細胞にけるVGFの保護作用機序の検討および急性網膜障害モデルに対するVGFの作用について検討を進める。急性網膜障害モデルとしてゼブラフィッシュを用いて虚血におけるVGFペプチド等の検討についても実施する。 ③VGF遺伝子導入マウス用いて急性網膜障害および慢性緑内障モデルにおける網膜・視覚中枢障害に対する作用に関して、VGF遺伝子導入マウスを用いて網膜障害に対する作用を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度において、急性網膜障害モデルおよびVGF遺伝子導入マウスの交配・繁殖のために購入するマウス、VGFペプチド、抗VGF抗体および細胞培養に必要な消耗品等に使用する。
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