研究課題/領域番号 |
23592613
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
丸山 和一 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (10433244)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 炎症 / マクロファージ / アポトーシス / リンパ管 |
研究概要 |
マクロファージは加齢黄斑変性・ぶどう膜炎など眼炎症の遷延化さらには角膜移植後の拒絶反応など広範囲の疾患動態を左右する血管・リンパ管新生に関与する。本申請者はマクロファージが組織障害時にリンパ管内皮形成に深く関与することを発見し、マクロファージの機能を可塑的に変化させることでリンパ管新生を抑制することに成功した。マクロファージを標的とする医学的介入による実際的なリンパ管新生抑制技術の開発に取組んできている。今回、我々はリンパ管内皮形成に係る活性化マクロファージ亜集団に選択的アポトーシスを誘導し、リンパ管新生を根源から遮断する方法を樹立することを目的とし本研究課題を発案した。また我々はリンパ管の形成維持にマクロファージがどれだけ重要であるかを、in vivoの研究にて証明も行う予定である。マクロファージ亜集団の誘導について、我々はマウス腹腔内に0.3%thioglycollate溶液3mlを投与する。投与後4日目にHBSSにて腹腔内を洗浄し細胞を回収し、培養皿で培養する。24時間後に浮遊した細胞を除去し実験に用いる。In vivo研究において、我々は角膜縫合モデルを使用する。マーキングの角膜中心方向(内側)約0.5mmから角膜辺縁方向(外側)約0.5mmaへ11-0ナイロンを通糸し、約120度間隔で6針縫合する。上記手術後1週間の時点で、頸椎脱臼後、角膜周辺部を穿刺し角膜辺縁部に沿って切除する。切除後PBSで洗浄し、種々の実験に使用する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在すでにマクロファージ選択的枯死阻害剤などを用いた研究にて、TNF-alphaを分泌するマクロファージを選択的に障害することが可能になっている。またin vivoモデルにてマクロファージとマクロファージに関連する因子ががリンパ管を維持するために重要であることを証明した。
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今後の研究の推進方策 |
薬剤に関する研究では、in vitroでの研究成果は得られているので、in vivoに活用できるかどうかが今後の課題である。マクロファージ選択的枯死阻害剤は水溶性では無いため、投与方法により種々の問題が発生する。そのため今後投薬方法がin vivoでは重要になると考える。以下に平成24年度の研究を列挙する。血管・リンパ管の誘導:角膜への炎症誘導法、角膜移植法;ドナーマウスより、直径2mmの円形角膜を採取し、ホストマウス角膜に移植する。角膜免疫染色法は角膜切除後、角膜をPBSにて洗浄後、固定する。固定後再度PBSで洗浄し、2% BSA(bovine serum albumin)+PBS+0.1%Triton-x100内にて Blockingを行い、一次抗体であるLYVE-1 (1:500)と反応させる。翌日、PBSで洗浄し、再度 Blockigを行い、FITC-conjugated CD31またはCD11b or F4/80(1:100)と反応させる。翌日、PBSで洗浄し、2% BSA+PBS+0.1%Triton-x100内にて Blockingを行い、二次抗体を反応させる。VECTOR-SHIELDとカバーグラスで被覆し4℃で(over night)保存する。組織凍結切片は角膜採取後4% PFAで固定し、包埋する。Cryostatで組織切片を作成し、上記に述べた角膜染色法と同様の過程を行う。観察は蛍光顕微鏡または位相差レーザー顕微鏡を用いる。
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次年度の研究費の使用計画 |
動物実験が研究の主となるため、マウスの購入が必須である。またマクロファージの培養を行わないといけないため、培養液・培養皿などの消耗品も必要となる。マクロファージから産生されるサイトカインの測定のためELISAなどの消耗品も必要となる。次年度はこれらの研究に主に研究費を使用することになる。
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