研究課題
マクロファージは加齢黄斑変性・ぶどう膜炎など眼炎症の遷延化さらには角膜移植後の拒絶反応など広範囲の疾患動態を左右する血管・リンパ管新生に関与する。本申請者はマクロファージが組織障害時にリンパ管内皮形成に深く関与することを発見し、マクロファージの機能を可塑的に変化させることでリンパ管新生を抑制することに成功した。マクロファージを標的とする医学的介入による実際的なリンパ管新生抑制技術の開発に取組んできている。今回、我々はリンパ管内皮形成に係る活性化マクロファージ亜集団に選択的アポトーシスを誘導し、リンパ管新生を根源から遮断する方法を樹立することを目的とし本研究課題を発案した。現在リンパ管を選択的に抑制出来る抗podooplanin中和抗体を使用し(東北大学・地域医療イノベーションセンター;加藤幸成教授との共同研究)、リンパ管新生を角膜において抑制することに成功した。この薬剤はマクロファージに対してはNF-kBの経路は抑制出来ず、MAPKの経路のみを抑制出来ることが判明した。このためリンパ管新生を抑制するにはNF-kB経路を抑制出来なくても、MAPKの経路を抑制することでリンパ管新生を抑制可能である事が間接的に証明することが出来た。本研究からNF-kBをそれほど活性化せず、MAPK系路を活性化する刺激薬剤として、Lipopolysaccaride(LPS)が有効であることが判明したため、今後はLPS刺激にてマクロファージ亜集団選択的アポトーシス誘導剤を使用し、さらなる亜集団を追求することとする。
2: おおむね順調に進展している
すでに、腹腔内マクロファージの培養法を確立し、リンパ管新生に重要な系路まで特定することが可能となった事。またマウス角膜血管・リンパ管新生モデルも確立しているため。
実験的リンパ管新生を角膜にて誘導し、実際に本低分子化合物を用いて、リンパ管新生が抑制出来るかどうかを検討する。またin vitroモデルにておいて我々はマクロファージを使用したリンパ管新生モデルを確立しているので、マクロファージのリンパ管新生への寄与も抑制出来るかどうかを検討する。
該当しない
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