研究課題
幹細胞を用いた角膜再生医療の臨床基盤技術開発を念頭に、角膜上皮幹細胞の恒常性維持機構を分子レベルで解明することを主目的とし、EGFRシグナル伝達系に注目し、その主要関連遺伝子であるLrig1に焦点を当てて研究をすすめた。今年度は、Lrig1 KOマウスを用いて機能解析を進めた。角膜創傷モデルを用いて、Lrig1(+)組織幹細胞による上皮修復過程を解析した。同時に、創傷前後での炎症性サイトカインの発現をPCRで比較検討した。その結果、KOではWTと比較して角膜上皮の創傷治癒過程が障害され、明らかな遅延が認められた。またKOではWTと比較して創傷刺激により角膜における炎症性サイトカインの発現が有意に亢進し、いわゆるpro-inflammatory state(前炎症状態)を呈していた。本病態の細胞内シグナルとの関連性を検討するため、既報の報告を含めたPathwayを網羅的に解析した。その結果、Lrig1がJAK-STATシグナルの主要関連分子であるSTAT3と密接な関連をしていることを見出した。そこで、角膜創傷モデルを用いて解析した結果、Lrig1 KOマウスの角膜にのみSTAT3の活性化が認められた。また、STAT3阻害剤(STA-21)点眼により、創傷刺激によるLrig1 KOマウスの角膜の表現型創出がレスキューされた。以上、結果より、Lrig1は、JAK-STAT Pathwayを介して炎症を制御し、角膜の恒常性維持に極めて重要な役割を担っていることがわかった。
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