研究課題/領域番号 |
23592623
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
吉野 裕顕 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90182807)
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研究分担者 |
森井 真也子 秋田大学, 医学部, 助教 (10375280)
蛇口 琢 秋田大学, 医学部, 医員 (20375281)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 肝臓星細胞 / 短腸症候群 / 肝線維化 / 脂肪滴 |
研究概要 |
近年、静注用ω3系脂肪製剤の腸管不全合併肝障害に対する有効性が報告されている。その作用機序は、a)胆汁流出の促進 b)肝細胞脂肪化の減少 c)免疫抗炎症作用の3点であるとされている。ところで、肝臓の非実質細胞のひとつである星細胞は、病的条件下で活性化しビタミンA脂質滴を失い、コラーゲンを盛んに合成・分泌するようになるため肝線維化の責任細胞と考えられている。星細胞の活性化抑制は肝線維化を改善するため、肝硬変治療のターゲットとして極めて重要である。今回我々は、ω3系脂肪酸の新たな作用として星細胞活性化を抑制し腸管不全合併肝障害の治療に有効である可能性を検証するために新たに実験を開始した。 第一に、実験計画にある通りSD系4週齢、雄性ラットを使用し肝灌流法によって肝臓中の細胞を採取し密度勾配遠心法によって星細胞を分離し初代培養を行った。そして培養液中に静脈注射用のω-3系脂肪製剤、ω-6系脂肪製剤を添加し星細胞の細胞増殖能について細胞数、細胞viabilityについて、また、脂質滴の形成について脂肪染色を施行し定量的、定性的に計測した(データ未発表)。続いてSD系4週齢、雄性ラットを使用し、トライツ靭帯より1.5cm肛門側から、回盲弁より5cm口側まで小腸を切除する90%小腸切除モデルラットの作成を開始し、短腸モデルラット肝臓における脂肪化、繊維化に関する評価を開始した。 ω3系脂肪酸を投与した星細胞では、著名に脂質滴が形成されることが確認された。今後、この脂質滴形成が線維化に対して抑制的に機能していることを検証することのよって、肝線維化に対する新たな治療法を確立できる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね実験計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
初代培養星細胞を用いて、コラーゲンmRNA(Col1A1、3A1、4A1)について、リアルタイムPCRによって定量し、ω-3系脂肪酸が肝線維化に及ぼす影響について評価する。また、活性化星細胞マーカーを用いた免疫組織染色(抗α-SMA抗体、抗desmin抗体など)によって、肝障害におよぼす星細胞活性化の影響について評価する。研究計画を遂行する中で、培養細胞を用いた検討が順調に進行し、物品として購入予定であった実体顕微鏡を購入しなかったたため次年度予算が生じた。次年度使用額は、実験動物の購入や免疫蛍光試薬や生化学分析用試薬、制御酵素試薬購入に充てる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は、実験動物の購入・飼育費用および免疫蛍光試薬や生化学分析用試薬、制御酵素試薬購入のための消耗品費として主に使用する。さらに英文論文投稿のための英文校閲費と投稿料を計上する。
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