研究課題/領域番号 |
23592624
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
菱木 知郎 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00375776)
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研究分担者 |
吉田 英生 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60210712)
本橋 新一郎 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60345022)
上條 岳彦 千葉県がんセンター(研究所), 発がん研究グループ, 部長 (90262708)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 神経芽腫 / 免疫療法 / NKT細胞 / 小児悪性固形腫瘍 |
研究概要 |
小児悪性固形腫瘍を罹患した患者につき、血液中の循環NKT細胞の数的解析、機能解析、および腫瘍組織内のNKT細胞の有無についての解析をおこなった。未治療および化学療法後の腫瘍組織におけるNKT細胞の発現(real-time PCRおよび免疫組織学的検討)として、神経芽腫腫瘍組織よりtotal RNA を抽出しreal-time RT-PCR法にてVα24-Jα18 RNAの検出を行った。計89例中53例にVα24-Jα18 RNAが検出された。病理組織分類でfavorable histologyの腫瘍にはより多くのNKT細胞浸潤がみられた。Vα24-Jα18 RNA発現がある症例の5年生存率は92.5%、一方発現のない症例のそれは83.3%であり、腫瘍内にNKT細胞浸潤のある患者の方が予後が良いという結果がえられた。末梢血中のCD3positive およびVα24-,Vβ11-positve細胞の同定(正常者との比較)Flow cytometryにより循環NKT細胞分画の定量をおこなった。正常コントロールは同年齢の健常患者(他疾患で手術予定の患者など)の余剰検体を同意取得のもと使用した。計11例より血液を採取し定量をおこなっている。担癌患者の末梢血は5例より採取し、分画定量、さらにはαGalCerパルスによるexpansionを観察した。特に造血幹細胞後の患者の循環NKT細胞が少ない傾向がみられたが、いずれもパルスにより十分にexpansionしうることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床サンプルの集積は予定通り順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
小児固形腫瘍培養細胞株を用い、NKT細胞によるcytotoxicityの検討をおこなう。また臨床検体数を増やし、昨年度おこなった解析データに厚みをもたせ、統計学的検討をおこなう。腫瘍内NKT細胞の局在については神経芽腫以外の腫瘍に関しても解析をおこなう。
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次年度の研究費の使用計画 |
小児悪性固形腫瘍を罹患した患者につき、血液中の循環NKT細胞の数的解析、機能解析、および腫瘍組織内のNKT細胞の有無についての解析を引き続き行う。未治療および化学療法後の腫瘍組織におけるNKT細胞の発現(real-time PCRおよび免疫組織学的検討):神経芽腫腫のほか、肝芽腫、ウイルムス腫瘍、横紋筋肉腫などの小児悪性固形腫瘍についても同様に解析を行う予定である。末梢血中のCD3positive およびVα24-,Vβ11-positve細胞の同定と機能解析患者血液中より得られたPBMCをα-GalCerパルスし、NKT細胞分画が増幅されることが確認された。この分画に含まれるNKT細胞が、患者APCによる刺激によって活性化されるか否かを検討する。具体的には、パルス後2週間で再度患者血液を採取し、放射線照射をおこなったのちに培養したPBMCに添加し、IL-2産生を解析する。小児悪性固形腫瘍培養細胞株に対するNKT細胞のcytotoxicityの検討クロム遊離アッセイにより正常コントロールならびに担癌患者のNKT細胞ががん細胞に対し持つ直接の殺細胞能を検討する。
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