本研究の目的は,A型食道閉鎖症を経管腔的内視鏡手術(Natural Orifice Translumenal Endoscopic Surgery:NOTES)のアプローチを用いることによって,頸部切開も開胸も行うことなく根治するために必要な,新しい食道吻合法を開発することである. 昨年度までに,NOTES下食道吻合を簡便に行うために必要な2種類の新デバイスを開発し,これらを用いた我々の提案する新術式が実現可能であることをブタの食道を用いたex vivo実験にて実証してきた. 今年度はin vivo長期生存実験を行って吻合の安全性と信頼性を検証する予定であったが,学会などで本研究の成果を発表し専門家と意見交換する中で,吻合完成とともに脱落するステントが腸管内に停滞することはないのかという問題提起をいただくとともに,生分解性の材料を用いたステントを新たに開発すればこの問題を解決できるのではないかというアドバイスもいただけた.生分解性ステントの開発は安全性の観点から非常に有用であると考えられたため,in vivo長期生存実験を行うよりも先に生分解性のステントを開発することに方針を変更した.調査の結果,国内外に生分解性ステントを製作している業者はあるものの,カスタムメイドに応じてくれる業者はなかった.血管用として国内メーカーが開発中の既製品で代用が可能かどうかを検討中である.
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