研究課題/領域番号 |
23592630
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
上原 秀一郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00448060)
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研究分担者 |
福澤 正洋 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60165272)
大植 孝治 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50314315)
野村 元成 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (40546909)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 小児がん / 癌幹細胞 / 免疫療法 |
研究概要 |
平成24年度はまず研究の足がかりとなる小児横紋筋肉腫細胞株の培養と癌幹細胞の同定を行った。まず小児横紋筋肉腫細胞株は胞巣型RH30と胎児型RMS-YMであり、細胞株を培養し、RT-PCR法にてCD133, CD44, CD24, CD117の癌幹細胞候補マーカーのmRNAレベルを測定。発現はhouse keeping geneであるGAPDHを用いて補正し、腫瘍組織と正常組織の発現量の差を比較検討した。CD133やCD44が有意に発現していた。さらにタンパクレベルでの発現を確認するため表面マーカーで腫瘍細胞を染色し、フローサイトメトリー法で検出したところ、各細胞株でCD133. CD44の発現を数パーセントで認めた。癌幹細胞マーカーとして最も有力と考えられるCD133を中心に、磁気ビーズ細胞分離システム(MACS, Miltenyi Biotec社)にて幹細胞分画の濃縮を試みたが、研究コストがかかる上、再現性の得られる結果が得られなかった。そこでRH30とRMS-YM、また同じ横紋筋肉腫胎児型細胞株RDをそれぞれ無血清培地で培養し、浮遊細胞塊やコロニー形成能、さらにin vivoで異種免疫不全動物であるSCIDマウスの皮下に攻撃接種し造腫瘍能を現在行っている。興味深いことにRH30やRDでは無血清培地で浮遊細胞塊を形成したが、RMS-YMでは形成せず、RMS-YMではそれ以上の実験を遂行できない。従って現在は胞巣型RH30,胎児型 RDで実験を進めており、無血清培地における継代培養も成功し、現在造腫瘍能の検討を行っている最中である。また継代培養して純化した癌幹細胞のStemnessについても検討を行っており、培養を加えることによって幹細胞の性質をより強く帯びていくことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞株により予想された結果と異なったため、実験を遂行できない部分が生じ、予定より若干の遅れを生じている。しかし予想外の結果で異なる細胞株で対応可能であり、今後も予定通り研究を推進可能と考えられるため、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね順調に研究が推進できている。今後は癌幹細胞に対する免疫療法に向け、細胞株の無血清培地で生じた浮遊細胞塊に含まれる癌幹細胞分画の解析を中心に行っていく。とくにこの細胞を抗体アレイによる表面マーカーの網羅的解析により、そのターゲットとなるマーカーを同定し、臨床検体を含めた検討を行っていく予定である。また今年度以降は、現在得られたデータをまとめて学会発表を行っていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費の使用計画おおむね計画通りの使用を計画している。
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