研究課題/領域番号 |
23592630
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
上原 秀一郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00448060)
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研究分担者 |
福澤 正洋 大阪大学, その他部局等, 名誉教授 (60165272)
大植 孝治 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50314315)
野村 元成 大阪大学, 医学部附属病院, その他 (40546909)
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キーワード | 小児がん / 横紋筋肉腫 / 癌幹細胞 |
研究概要 |
胞巣型横紋筋肉腫(aRMS)は集学的治療の進歩にもかかわらず、未だ予後不良である。近年、腫瘍構成細胞を供給し続ける幹細胞様細胞(CSC) の存在が明らかとなってきた。CD133は胚性幹細胞を含む幹細胞や前駆細胞のマーカーであり、CD133を標的にした治療の開発は困難である。従ってマーカー以外の他の手法でCSCを単離し、その性質を検討することは極めて重要である。 今回、我々はCSCを標的とした新しい治療法を開発することを目指して、無血清培養より抽出したaRMS-CSCの生物学的特徴について解析した。 aRMS細胞株(RD30)を超低接着表面ディッシュ、無血清培地で継代培養を行った。Sphere形成能はsphereをsingle cellとし、無血清培地、96 well plateに播種して培養し検討した。またコロニー形成能はアガロースゲル内のコロニー数を計測した。Sphere形成細胞の造腫瘍能を検討するため、腫瘍細胞を段階希釈し、NOD-SCIDマウスの皮下に接種して造腫瘍能の有無を検討した。さらに形成された腫瘍の性質を検討するため、腫瘍を摘出し、病理 学的検討を行った。Sphere形成能は親株で4.2%、sphere細胞では51.7%と著明に亢進していた。またアガロースゲル内コロニー生成能は親株で平均5.2個であったが、sphere細胞は平均30.6個で有意に生成能は亢進していた。さらに造腫瘍能の検討では親株は10万個 以上の細胞を接種せねば腫瘍が形成されないのに対し、sphere細胞では1000個の細胞で腫瘍を形成した。また1000個のsphere細胞で形成した腫瘍はmyogenin陽性、desmin陽性であり、aRMSの性質を有していた。以上から、無血清培養より抽出したaRMS-CSCは癌幹細胞としての性質を持った細胞群であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
横紋筋肉腫細胞株で癌幹細胞と思われる分画の抽出に成功するまでに時間を要したため、当初予定した研究進捗までたどり着いていない。
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今後の研究の推進方策 |
ようやく横紋筋肉腫細胞株で癌幹細胞と思われる分画の抽出に成功したが、また完全にそれとは言い切れていない。様々な角度から検討を行い、それが癌幹細胞であるという証拠を着実に積み上げる必要がある。 上述の細胞群がどのような分子を発現し治療標的となり得るのかについて検討を行っている。また研究分担者を増やして、癌幹細胞の免疫原性の検討を行っていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験にかかる直接費用と研究成果の公表のための旅費と雑誌掲載費
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