研究課題/領域番号 |
23592634
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
北川 博昭 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (80153097)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 胎児治療 / 多嚢腎 / 後部尿道弁 / 胎児尿路閉塞 / 胎児水腎症 / 急性尿細管壊死 |
研究概要 |
胎児尿路閉塞患者への膀胱-羊水腔シャント術は腎機能温存目的に行われてきたが、どの位の圧が胎児期に必要かなどの報告はないため、胎児期のシャントチューブの適正圧の検討を行った。方法:妊娠60日の羊胎仔を帝王切開で臍帯をつけたまま、メスでは尿膜管と膀胱頸部、オスでは尿膜管と陰茎部尿道をサイラスティックチューブで結紮した。その3週間後に膀胱-羊水腔シャントを行った。シャントチューブは脳外科で脳室-腹腔シャントに用いるPudenz Peritoneal Catheter Low Pressureタイプ(15-54 mm H2O)とHigh Pressureタイプ(95-150 mm H2O)の2種類とシャントを行わない3群を作成した。胎生130日に帝王切開で胎仔を娩出させ犠死後、膀胱容量、腎、膀胱の病理学的な検討を行った。結果:胎生60日に尿路閉塞を16匹に作成し14匹生存(87%)した。5匹は尿路閉塞のみ(O群)、シャントはLowタイプ(L群)5匹、Highタイプ(H群)4匹で、130日後に生存していたO群5匹、L群4匹、H群3匹を用いて検討した。胎児の体重、身長は3群間で差は認めなかった。剖検でO群は尿路の圧が高まったため多量の尿腹水、尿瘤、拡張した尿膜管を認めた。L群は尿腹水や尿瘤は認めず、また膀胱容量は平均115mlと保たれていた。H群ではO群同様に尿腹水、尿瘤を認め、膀胱容量は測定できた2例では10ml,15mlであった。まとめ:胎児尿路閉塞の膀胱-羊水腔シャントはLow Pressureタイプ(15-54 mm H2O)が膀胱容量が確保され、胎児期の適正なシャント圧と考えられた。High Pressureタイプ(95-150 mm H2O)では、尿路の完全閉塞と同様の所見を認めた。胎児期の膀胱容量を確保するには54 mm H2O以下の膀胱内圧が適当と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は5匹ずつHigh pressure, Low pressureモデルを作成する予定であったが尿路閉塞作成時には5例あったが、ここでシャントチューブを挿入した後に死亡する例が出たため当初よりさらに2匹ほど追加したデーターが必要となった。
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今後の研究の推進方策 |
大動物実験のため生存する羊の数によりその後のシャント手術で使用するバルブシャントの数、胎仔の管理料、運搬料などに影響が出てくる。本年は予定数より胎仔の数が少なかったため、病理の標本数や免疫染色の抗体の値段が安くすんだ。
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次年度の研究費の使用計画 |
胎仔の数が得られるよう、掛け合わせる時期を3月におこない、通常より多くの双胎の胎仔が得られるよう実験の時期を変更した。また、本年度より多い数の羊を管理するため、次年の羊の掛け合わせに本年度の研究費を移動させる。
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