研究概要 |
目的:昨年まではLow Pressure タイプ(15-54 mm H2O)と High Pressure タイプ(95-150 mm H2O)の2種類を用い膀胱の機能を調べたが、今年は今年は腎臓の変化も調べた。また過去3年間の全症例の集計をまとめた。 方法:妊娠60日に羊胎仔尿路閉塞モデルを作成した。3週間後に脳室-腹腔シャントを用いて膀胱-羊水腔シャントをおこなった。Pudenz Peritoneal Catheter Low Pressure タイプ(15-54 mm H2O)と High Pressure タイプ(95-150 mm H2O)の2種類を挿入した。満期(140-145日)に帝王切開で胎仔を分娩させ犠死後、病理学的な検討をおこなった。 結果:2013年6月に尿路閉塞作成、3週間後にシャントを挿入した。その後満期でに出産させた。8匹の母羊から14匹の胎仔に尿路閉塞を作成し4匹にHigh Pressure, 4匹にLow pressure, 6匹にシャント無しモデルを作成した。過去2年間で23匹の母獣から32匹の胎仔モデルを作成し、A群(n=13):尿路閉塞のみ9例生存、B群(n=6):Low pressureモデル5例生存, C群(n=7):High Pressureモデル5例生存、正常control(n=6)の腎所見を比較した。A群では尿細管上皮の変性を7匹、嚢胞形成を4匹に認めB,C群ではそれぞれ2例に尿細管上皮の変性、1例に嚢胞形成を認めた。正常モデルにはこれらの変化は認めなかった。 考察:胎児尿路閉塞の膀胱-羊水腔シャントは膀胱ではLow Pressureタイプの膀胱容量が確保された。また、High Pressureタイプでは、肉眼的には尿路の完全閉塞と同様の所見を認めた。腎ではHigh pressureでもLow pressureでも軽度の尿細管の拡張や変性が認められた。腎への影響はB,C両群間で差は認めなかった。 まとめ:過去3年間で閉塞性尿路障害患者のシャントチューブは膀胱、腎、両機能の温存にはLow pressure typeが優れていた。
|