研究課題/領域番号 |
23592640
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
李 陽成 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (90466566)
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研究分担者 |
今井 啓道 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80323012)
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キーワード | 同種混合組織移植 / 小胞体ストレス反応 / 再建外科 |
研究概要 |
同種遊離複合組織移植は広範囲な組織欠損において主要な再建法のひとつとなりつつあり、最近では顔面移植の成功により注目されている。これまで我々はHeat Shock Proteinが急性期拒絶反応に関与している事を報告してきた。また軟骨組織が拒絶反応を起こしにくい事が知られており、今回我々はラット下肢同種複合組織移植モデルにおける関節軟骨に注目して研究を行った。 軟骨組織において同種移植後日数が経過してもHE染色にて経時的変化は認められないにも関わらず、TUNEL陽性細胞の増加を認めた。同時に関節軟骨細胞を透過型電子顕微鏡にて観察し、それらの細胞がアポトーシスを起こしている事が確認出来た。これにより軟骨細胞が同種移植により拒絶反応を起こしている事が証明された。またcaspase3陽性細胞の増加も認められていた事から、レーザーマイクロダイセクション法により軟骨組織を採取、mRNAを抽出した後PCR法を用いて解析したところ、移植後日数が経過するにつれて、caspase3の遺伝子発現量の減少が認められた。この事は軟骨組織における拒絶反応メカニズムが遺伝子レベルで起きており、caspase3を介したカスケードが進行している事が示唆される。 現在まで軟骨組織での拒絶反応の報告はなく、同種複合組織移植のみならず、海外で既に臨床応用されている軟骨同種移植においても、拒絶反応メカニズムを解明する事により、新しい拒絶反応療法が行え免疫抑制・寛容療法と組み合わせる事でより安全に長期生着生存できる移植治療が可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サンプルの作製はほぼ終了した。アポトーシスの裏付け実験として透過型電子顕微鏡にて軟骨細胞を観察し拒絶反応により軟骨細胞がアポトーシスを起こしている事が確認できた。ホルマリン標本にて免疫組織学的検討を行い、さらにレーザーマイクロダイセクション法により採取したサンプルからmRNAを抽出、PCRによる増幅、比較定量を施行しcaspase3の遺伝子発現の経時的検討を行い、遺伝子レベルにて軟骨の拒絶反応がが検討できた。
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今後の研究の推進方策 |
抽出したmRNAより遺伝子発現を検討する事が可能となり、実際にcaspase3の発現を検討した。これによりさらに上流のアポトーシスカスケードを解析を行う。また生化学サンプルから、軟骨組織を採取しWestern blot法によりストレス蛋白を含めたアポトーシス関連蛋白の解析を行う。 またこれまでの研究成果を海外論文にて発表を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
mRNA抽出用キット、real-time PCR試薬、およびレーザーマイクロダイセクション用のスライドを購入する。またWestern blot用の抗体および試薬を購入する予定である。今年度論文発表を行うため、資料などの経費がかかる見込みである。また、次年度使用額は今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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