研究課題/領域番号 |
23592644
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
松尾 清 信州大学, 医学部, 教授 (20135156)
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研究分担者 |
杠 俊介 信州大学, 医学部, 准教授 (10270969)
藤田 研也 信州大学, 医学部附属病院, 講師 (00447781)
伴 緑也 信州大学, 医学部, 助教 (30447784)
矢野 志春 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (10531907)
三島 吉登 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (80464098)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 顔面表情筋 / 不随意的収縮 / 遅筋 / 発熱 / サーモグラフィ |
研究概要 |
顔面表情筋は速筋と遅筋よりなる骨格筋なのに遅筋の反射的収縮を起こす筋紡錘が内在しない。運動野→顔面神経核を介した随意的速筋収縮の経路は分かっているが、不随意的遅筋収縮の経路は分かってない。上眼瞼のミュラー筋には機械受容器が存在し、上眼瞼挙筋(+上直筋)の収縮による伸展で生じる三叉神経固有感覚が、前頭筋を不随意的反射的に収縮することを報告した(J Plast Surg Hand Surg (in press))。このミュラー筋機械受容器を求心性に神経支配する三叉神経固有感覚神経は、青斑核に接して三叉神経中脳路核に存在し、かつこの二つの核の間はギャップジャンクションで繋がっている可能性を報告した(J Plast Surg Hand Surg (in press))。すなわち上眼瞼挙筋(+上直筋)の収縮によるミュラー筋機械受容器伸展で生じる三叉神経固有感覚は、三叉神経中脳路核→青斑核を介して、顔面表情筋(眼輪筋、皺眉筋、鼻根筋、上唇鼻翼挙筋などの顰め面を起こす筋肉)の遅筋を不随意的に収縮させる可能性がある。青斑核は扁桃体からの刺激で泣く・笑うなどの顰め面筋を収縮させることも報告されている。 今年度は腱膜性眼瞼下垂症で、開瞼時にミュラー筋機械受容器が過剰に伸展されてしまう状態で、顔面表情筋(眼輪筋、皺眉筋、鼻根筋、上唇鼻翼挙筋などの顰め面を起こす筋肉)の遅筋の不随意的収縮が亢進しサーモグラフィで有意に温度上昇が起きることを報告した。 今後、上眼瞼挙筋(+上直筋)の収縮によるミュラー筋機械受容器伸展で、三叉神経中脳路核→青斑核を介した顔面表情筋(眼輪筋、皺眉筋、鼻根筋、上唇鼻翼挙筋などの顰め面を起こす筋肉)の遅筋の収縮を、青斑核の刺激症状である覚醒度(脳血流での評価)、筋緊張、交感神経緊張(発汗計での評価)を加えることで、サーモグラフィでの評価と組合わせて、研究を展開して行きたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腱膜性眼瞼下垂症によりミュラー筋機械受容器伸展の亢進により、顔面表情筋(眼輪筋、皺眉筋、鼻根筋、上唇鼻翼挙筋などの顰め面を起こす筋肉)の不随意的反射的収縮が、亢進し、それらが遅筋で構成されているため、サーモグラフィで測定できる高温度帯になっていることがわかった。 腱膜性眼瞼下垂症を手術して、ミュラー筋機械受容器伸展を抑えると、顔面表情筋(眼輪筋、皺眉筋、鼻根筋、上唇鼻翼挙筋などの顰め面を起こす筋肉)の不随意的反射的収縮が、抑制されサーモグラフィで測定できる高温度帯が減少することがわかった。 腱膜性眼瞼下垂症に罹患する年齢が、45歳前後に多く、更年期障害の時期と重なることより、ホットフラッシュは、女性ホルモンの欠落症状だけでなくとも起こりうることがわかった。 これらのことは、2011年10月6日の第20回日本形成外科学会基礎学術集会で報告した。
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今後の研究の推進方策 |
私達の別の研究により、上眼瞼のミュラー筋には機械受容器を求心性に神経支配する三叉神経固有感覚神経は、青斑核に接して三叉神経中脳路核に存在し、かつこの二つの核の間はギャップジャンクションで繋がっている可能性が分かった(J Plast Surg Hand Surg (in press))。すなわち上眼瞼挙筋(+上直筋)の収縮によるミュラー筋機械受容器伸展で生じる三叉神経固有感覚は、三叉神経中脳路核→青斑核を介して、顔面表情筋(眼輪筋、皺眉筋、鼻根筋、上唇鼻翼挙筋などの顰め面を起こす筋肉)の遅筋を不随意的に収縮させる可能性がある。 今後、青斑核の刺激症状ともからめて研究を展開して行きたい。青斑核は、覚醒の中枢、筋緊張の中枢、交感神経の中枢(精神発汗・交感神経発汗)であり、この科研費で購入した発汗計で、講座にある脳血流計や、筋電計をからめて研究を展開していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は、科研費で購入したサーモグラフのデータ保存用のメディアの購入、発汗計の接着テープの購入費、その他の消耗品の購入に当て、場合によっては解析ソフトフェアの購入に当てる。 また、当講座で保有する近赤外線脳血流計や表面筋電計筋電計などを使って、さらなる研究に発展するために、接着テープ、電極など消耗品の購入費に当てる。 余裕があれば、当初予定していた論文の英文校正費用や、国内あるいは国外で行われる学会発表のための交通費などにもあてたい。
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