研究課題/領域番号 |
23592644
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
松尾 清 信州大学, 医学部, 教授 (20135156)
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研究分担者 |
杠 俊介 信州大学, 医学部, 准教授 (10270969)
藤田 研也 信州大学, 医学部附属病院, 講師 (00447781)
伴 緑也 信州大学, 医学部, 助教 (30447784)
矢野 志春 信州大学, 医学部, 助教 (10531907)
三島 吉登 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (80464098)
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キーワード | 顔面表情筋 / 遅筋収縮 / 温度上場 / サーモグラフィー |
研究概要 |
顔面表情筋は速筋と、発熱筋である遅筋より構成される。特に表在性の眼輪筋や皺眉筋などの遅筋成分の多い筋肉は発熱し、皮下の発熱体として作用し皮膚の温度を上げ、極寒地でも、眼瞼部を露出することを可能にしている。一方、眼瞼痙攣などの遅筋の病的収縮でも、同部の温度を上げていることを証明し、サーモグラフィーにより顔面の温度を測定することにより、顔面表情筋の不随意的収縮を定性的・定量的に診断できないか探ることが本研究の目的である。 本年度は、顰め面筋である眼輪筋・皺眉筋・上唇鼻翼挙筋などの温度上昇が、片側性に顰め面を持続することで、徐々に誘発できることを証明することが目的であった。 平成24年10月4・5日に開催された第21回日本形成外科学会基礎学術集会において、「顔面表情筋の連続的収縮による温度上昇の赤外線サーモグラフィでの動画撮影による評価」として、片側性の顰め面の連続により、同側の表在性の眼輪筋・皺眉筋・上唇鼻翼挙筋など顰め面筋部の皮膚の温度が有意に経時的に上昇させることができることを報告した。 この報告により、表在性の顔面表情筋が収縮することで発熱し皮下の発熱体となり、同部の皮膚の温度を上げていることを証明できた。このことは、サーモグラフィで顔面を観察すると、皮下の発熱体である顔面表情筋の収縮状態を観察できることになる。この事実の発見は、収縮の低下した顔面神経麻痺の病態の把握、収縮の亢進した眼瞼痙攣の定性的・定量的診断にサーモグラフィーが有用である可能性が示唆されたことになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、「顔面表情筋の連続的収縮による温度上昇の赤外線サーモグラフィでの動画撮影による評価」として、片側性の顰め面の連続により、同側の表在する眼輪筋・皺眉筋・上唇鼻翼挙筋など顰め面筋の温度が有意に経時的に上昇し、皮下の発熱体となり、同部の皮膚の温度がすることを報告した。 これらのことより、眼輪筋・皺眉筋部の温度は、顔面神経支配の多重性、顔面神経麻痺や眼瞼痙攣などの随意的・不随意的収縮の低下あるいは亢進により温度が変化し、これがサーモグラフィで測定可能なことを証明できたことになる。 従って、交付申請した、研究の目的の達成をおおむね順調にし推移していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、眼瞼痙攣患者と正常者の眼輪筋・皺眉筋部の温度の違い、眼瞼痙攣に対する手術後の同部の温度の変化について定性的・定量的な評価ができないか研究して報告する予定である。また更年期女性に多いホットフラッシュも顔面表情筋の収縮による顔面皮膚の温度上昇かどうかも探りたい。さらに、皮下脂肪のない赤唇部ほど遅筋の多い口輪筋の収縮状態が評価できないかも探りたい。 そして、顔面表情筋ではなく皮下脂肪はあるが筋体の大きな、比較的浅層にある側頭筋の収縮の評価に使えないかも検索する。これにより噛みしめ癖が評価できるかもしれない。そしてこめかみの頭痛の評価に使えないかも評価したい。 平成25年度は、国際学会でも発表し。欧文論文を幾つか完成させたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に未使用額37,0549円が生じたのは、当初計画よりも英文論文作成が遅れ、その英文校正費、その論文のopen 化に必要な費用を使用できなかった。 平成25年度の研究費は、次年度使用額と合わせて、国際学会での発表の費用、欧文論文の英文校正費、open journalへの投稿料に使用する。
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