研究概要 |
近交系マウス(BALB/C、雌)から採取した全血より単核球細胞分画を採取しフローサイトメトリーでFibrocyteの膜表面マーカーであるCD45,CD34,ビメンチンがすべて陽性の細胞を確認したが陽性細胞数は少量であったので、移植および解析に使用するために、Fibrocyteの細胞培養を行ったが、Fibrocyteの性質を維持したまま増殖させるのが、困難であった。色々な培養条件で培養を行ったが、解析および移植用に必要なFibrocyteの細胞数を培養することが出来なかった。 創傷モデルとして前年度マウスの下肢リンパ浮腫モデルを作成し、脂肪幹細胞を注入した群では、リンパ管の再生を確認した。その成果は平成24年に日本形成外科基礎学術集会で報告した。 また当初の計画では皮弁作成モデルにより幹細胞の投与の効果を判定する予定であったが、皮弁作成モデルより血流の回復が肉眼的にわかりやすい下肢の虚血肢モデルを今年度作成した。具体的には、ラットの下肢への動脈を切離後、同部に放射線を照射して虚血肢モデルを作成した。そのモデルにFibrocyteを移植する予定であったが、培養がうまくいかず、代わりに脂肪由来幹細胞を移植して、効果を検討した。脂肪由来幹細胞単独投与でも虚血肢の改善を認めたが、同時に皮弁を付加したほうが、改善効果がより高いことを確認し、その成果は平成26年4月に米国で開催されたThe Symposium on Advanced Wound Care/Wound Healing Society 2014で報告した。 今研究で作成したマウスの下肢リンパ浮腫モデルおよびラットの下肢虚血肢モデルは様々な幹細胞や細胞移植による組織再生、血流改善および創傷治癒促進効果の検証に応用でき、臨床への新規治療法の開発に役立つと考える。
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