研究課題/領域番号 |
23592659
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
松崎 恭一 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (20278013)
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研究分担者 |
井上 肇 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (60193603)
冨岡 みゆき 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究技術員 (90398967)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 高ブドウ糖 / 表皮細胞 / 線維芽細胞 / Sortilin-1 / Nerve growth factor / 糖尿病性皮膚障害 / Matrix Metalloprotease-9 / 糖尿病性神経障害 |
研究概要 |
本学生命倫理委員会の承認のもと(第1295号)、同意を得た患者より手術時に余剰となった組織から常法に従って表皮細胞と線維芽細胞を培養し6穴プレートへ継代した。継代した表皮細胞は60-80%のコンフルエントにした後、無血清、無糖培地で24時間培養した。次いで0, 100, 200, 400, 800 mg/dlの各種glucose濃度で24時間培養したうえで、Sortilin-1、Nerve growth factor、Brain-derived neurotrophic factor、Matrix Metalloprotease-9のmRNA expressionを抽出し測定した。その結果、表皮細胞では0 mg/dlと100 mg/dlにおいてSortilin-1、Nerve growth factor、Brain-derived neurotrophic factor、Matrix Metalloprotease-9に有意な差を認めたが、100-800 mg/dlの各種glucose濃度間では有意な差がみられなかった。一方、線維芽細胞は無糖培地では培養を維持できないことが本年度の研究によって明らかになったので、通常培地の血清と糖濃度の条件に100, 200, 400, 800 mg/dlのglucoseを加えて72時間培養したうえで、Sortilin-1、Nerve growth factor、Brain-derived neurotrophic factor、Matrix Metalloprotease-9のmRNA expressionを抽出し測定した。その結果、各濃度間で有意な差は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、高ブドウ糖環境が細胞にどのような影響を及ぼすかを主眼に検討した。本年度の研究により、表皮細胞はglucose濃度が0 mg/dlと100 mg/dlでSortilin-1、Nerve growth factor、Brain-derived neurotrophic factor、Matrix Metalloprotease-9のmRNA expressionに有意な差を生じることが明らかになった。Glucose濃度が0 mg/dlという低血糖が表皮細胞に病的状態を生じるのか、或いは100 mg/dlという糖尿病予備軍と呼ばれる状態が表皮細胞に何らかの影響を与え始めているのかという重要な問題が提起された。この問題に対しても今後検討を予定している。すなわち当初予想していた研究成果以上の展開が期待されるので、初年度の研究はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は同条件のもと0から100 mg/dlの間でSortilin-1、Nerve growth factor、Brain-derived neurotrophic factor、Matrix Metalloprotease-9のmRNA expressionの相違を確認する。0から100 mg/dlの間での細かい糖濃度の設定は糖尿病との境界領域が健康に与える影響に関するデータが得られる可能性を示唆する。さらに高濃度のglucoseへの暴露時間に関する検討も行う。24時間の表皮細胞培養と、72時間の線維芽細胞培養では、100, 200, 400, 800 mg/dlのglucose濃度におけるSortilin-1、Nerve growth factor、Brain-derived neurotrophic factor、Matrix Metalloprotease-9のmRNA expressionに有意差はなかったが、さらに長時間ではどのように推移するかを検討する。すなわち糖尿病の罹病期間が細胞障害にどのように関与しているかについての解明も推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度の研究成果は遺伝子レベルではおおむね順調に進んでいるが、タンパク質レベルにおいては若干の遅れがあり、購入予定であったEIAキット等の購入がなされなかったため、これらの研究費を繰り越し引き続き、次年度も更なる遺伝子レベルとタンパク質レベルでの解析を進めていきたい。
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