研究課題/領域番号 |
23592680
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
小野寺 誠 岩手医科大学, 医学部, 講師 (50326659)
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キーワード | 急性一酸化炭素中毒 / 一酸化炭素暴露時間 / 一酸化炭素ヘモグロビン濃度 / パルスCOオキシメータ |
研究概要 |
本研究は,一酸化炭素(以下CO)中毒患者に対する高気圧酸素療法の施行基準を確立することを最終目的とした研究である.急性CO中毒は,その暴露程度により頭部CT/MRI検査で大脳基底核や大脳白質・皮質に異常を認め,時には重度の障害を残す.しかし,異常所見の発生にどのような因子が関与しているのか不明であるため,有効な治療法とされている高気圧酸素療法の施行基準がいまだ統一されていない. 我々はCT/MRIで異常を認めた症例の多くが長時間のCOガス暴露症例であることを明らかにした.そこで,急性CO中毒の重症度を決定する因子として発生現場におけるCOガス濃度×暴露時間が重要であるという仮説のもと,当該研究期間内に血中CO濃度を計測するCOオキシメータ(Masimo Rainbow-SET パルスCOオキシメータRad-57:以下Rad-57)を用いて,発生現場におけるCO-Hb濃度を測定し,頭部CT/MRI異常との関連を解析することを目指している. 平成23年度にはSTEP1として,盛岡地区二次救急医療圏の中の5か所の消防署にRad-57を配備した.現在STEP2として,各消防署の地域内でCO中毒患者が発生した場合,現場におけるCO暴露時間とCO-Hb濃度を救急隊が測定し,連絡を受けた研究代表者および連携研究者がデータを集積している. 現段階では,発生現場におけるCO-Hb濃度と当機関搬入時の血中CO-Hb濃度が相関していることが判明しており,搬入時の血中CO-Hb濃度から発生現場におけるCO-Hb濃度を予測することが可能か否か検討中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度から平成25年度までの3年間に合計50例の症例を集積し分析する予定であった.しかし,平成25年度終了時点で発生現場においてCO-Hbが測定されている例は19例に過ぎない.この理由として,Rad-57の配備が平成23年10月末であったためデータ集積開始時期が11月と遅かったこと,また配備地域全体におけるCO中毒発生件数が少なかったことが挙げられる.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に運航開始となった岩手県ドクターヘリの機内装備にRad-57が追加されたことから,上記消防署圏外においてもCO中毒発生現場におけるCO-Hbの測定が可能となった.研究代表者および連携研究者は全員フライトドクターでもあることから症例の集積に有利に働くと考えられる. これまでCO中毒の発生件数が少ない消防署からRad-57を回収し,別消防署へ配備転換することも考慮しながら,現在症例を集積中である.
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次年度の研究費の使用計画 |
各消防署に配備している設備備品(Rad-57)の不具合の報告があることと,平成24年度および25年度に予定していた資料の閲覧や外国語文献の校閲などが適正に行われなかったことがある. 設備備品(Rad-57)の修理について検討する.論文作成に関する資料の閲覧や外国語文献の取り寄せを行い,平行して平成26年度に学会で成果を発表する予定である.
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