研究課題
1.SIRS、ALI/ARDS、炎症性肺疾患における免疫炎症・代謝および組織幹細胞の動態解明: 以前我々は、IL-17欠損マウスにおいて、ブレオマイシン投与後のALIが増悪する知見を得ており、本年度はその病態を明らかにするための検討を行った。野生型およびIL-17欠損マウス(医科学研究所より供与)にブレオマイシンを経気管投与した後、7日後の肺組織を採取し、樹状細胞の動態とTh1サイトカインであるIL-12の発現を免疫染色にて検討した。IL-17欠損マウスにおいて、肺の樹状細胞が増加傾向にあることを認めたが、自家蛍光が強く現状では検出困難なため、現在同細胞の固定及び染色法を、種々の条件で検討している。また、ALI/ARDS、IPF/UIP患者の剖検組織を用いた、Musashi-1、SPC、Clara cell specific protein(CCSP)をマーカーとした肺組織幹細胞・前駆細胞の探索も継続して行い、細気管支/肺胞を中心とした領域の染色陽性細胞を現在詳細に検討中である。2.ヒトES細胞からのヒト肺組織細胞の効率的産生誘導法の確立: 本年度は、腎臓内科学教室と共同で、ヒトのES細胞から肺胞上皮細胞へ効率よく分化する条件の探索を続けたが、Air-liquid interfaceに優るものは今のところ見いだせていない。
3: やや遅れている
当大学病院における救急診療体制の24時間化により、十分な時間を研究に当てることができず、研究費も一部未使用となってしまった。
研究代表者は、本年度より救急科から総合診療教育センター(仮称)に移籍したことから、本研究に従事する時間を十分確保でき、最終年度内に研究計画通りに実験を遂行し、完了できる予定である。当大学生理学教室、腎臓内科教室との共同研究も継続予定である。なお、期限内の研究計画完了に向け、動物実験と培養細胞の種類を絞り込み、重点的に行うこととする。
1.マウスのSIRS、炎症性肺疾患モデルを用いた、侵襲後の免疫炎症・代謝変動の総合的解析: 最終年度は、マウスの炎症性肺疾患モデルのうち、ブレオマイシン誘発ALIモデルを用いて、IL-17欠損によるALI増悪の機序解明のため、蛋白質と遺伝子発現を解析する。2.細胞培養系を用いた、肺細胞、免疫細胞の機能変動補正因子の解明: 最終年度は、ヒト単球、樹状細胞、及び同細胞株を、IL-18、IL-17A、IL-17Fなどを様々の生理的・非生理的濃度加えた環境下で培養した後、侵襲負荷として細菌内毒素、TNFα、IL-1等を加え、細胞形態やサイトカイン産生能の変化を検討し、侵襲負荷に対する反応性、抵抗性変化の機序を明らかにする。3.ヒトES細胞からのヒト肺組織細胞の効率的産生誘導法の確立: 当大学生理学教室、腎臓内科学教室と共同で、ヒトのES細胞から肺胞上皮細胞への効率的な誘導手法の探索を継続する。4.ALI/ARDS、炎症性肺疾患患者における免疫炎症・代謝および組織幹細胞の動態解明: ALI/ARDS、炎症性肺疾患患者の剖検を用いて、Musashi-1、SPC、CCSPにより肺組織幹細胞・前駆細胞の探索を継続して行う。
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分子呼吸器病
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