研究課題
【背景】水素水は飲水によって体内に発生した活性酸素を消去することによって、酸化ストレスに関連する病態に有効であると考えられている。我々は水素水を飲水していることにより、頭部外傷をはじめとする脳損傷によるダメージを軽減させる、いわゆる“機能水”としての効果を有するかについて検討を行っている。昨年までに頭部外傷モデルにおける外傷前の水素水の飲水によって脳浮腫が抑制されることを報告した。追加研究として、同様のモデルにおいて水素水の飲水が頭部外傷後の脳内におけるタウの蓄積、グリアの活性化における作用、各種サイトカイン産生等へ影響について検討した。【対象と方法】C57BLマウス(20-25g)を使用して実験的頭部外傷モデル(CCI model)を作製した。水素水飲水群と通常の水道水飲水群で外傷後における脳内のタウ発現(AT8 and Alz50)、グリアの活性化(GFAP, Iba-1)について免疫組織化学的に検討した。サイトカイン発現についてはmultiplex system (Luminex)を用いて炎症性・抗炎症性サイトカイン23種について検討した。【結果】飲水群において外傷周囲におけるタウの発現、アストロサイト、ミクログリアの活性が制御されていた。炎症性あるいは抗炎症性サイトカインの多くが非飲水群と比較して有意に複雑に変化していた。【まとめ】水素水の頭部外傷における機能水としての作用は単なるフリーラジカル制御によるだけとは考えにくく、グリア細胞の活性化制御やサイトカイン産生への影響などが複雑に関与していることが解明された。外傷や脳卒中による脳障害を機能水で軽減しうる可能性が見いだされた。アルツハイマー症候群の予防効果も期待され高齢化社会において非常に価値のある知見を得た。
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plos one
巻: 24(9) ページ: e108034
10.1371/journal.pone.0108034