研究課題/領域番号 |
23592687
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
日野 博文 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (70308500)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 敗血症 / 重症末梢神経炎 / 抗凝固薬 |
研究概要 |
現在までの知見を基に敗血症誘発重症神経炎ラットモデルにおいて、電位依存性Na受容体サブタイプの発現種別を確認することを目的として以下の実験を行った。1.敗血症誘発重症神経炎ラットモデル作成: 測定日の7日前に麻酔下にてWistar系雄性ラットの右外頚静脈にカテーテルを留置し、直後よりフリームービング持続注入装置(スギヤマゲン社製 TFM-170PC)を介して、生理的食塩水(30μl/hr)を持続投与した。実験48時間前よりlipopolysaccharide (E.coli)3mg/kg/日を2日投与して当該モデルを作成した。2.電位依存性Na受容体サブタイプ発現の定量分析: 当該モデルにおいて腹腔内にペントバルビタール25mg/kgを投与し、十分な麻酔を得たことを確認した後、気管切開を置き、人工呼吸を行う。同条件下において両側の坐骨神経を注意深く摘出し、RNA安定化させるためにRNA固定を行い液体窒素内にて保存した。冷却したバッファー液中でホモジュナイズを行い、RNAを分離抽出した。RNAをcDNA化したのちにリアルタイムPCR法にてNa受容体サブタイプのDNAの定量分析を遂行した。投与開始48時間後における群間比較を行い、各種電位依存性Na受容体サブタイプ出現の推移を観察した。結果として、現在のところ、対照群とLPS投与群において、RNA抽出が可能であり、リアルタイムPCRにおいて当該サブタイプ発現の相違を確認する段階に至っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
リアルタイムPCR測定技術の獲得までに時間を要した。対象臓器である末梢神経のRNA総量が少ないため、技術的な課題があり、問題を解決するまでに一定の時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度はリアルタイムPCRにおいて使用するRNAが抽出しにくい臓器を対象にしていたため、抽出する技術向上に時間を要したことにより、遅延が発生している。これを踏まえ、今年度は以下のように計画をしている。1.電位依存性Na受容体サブタイプ発現に対する抗凝固薬の影響当該モデルは再現性が高いため、当該モデルにおいてリアルタイムPCR法を用いた各種電位依存性Na受容体サブタイプ発現の経時的変化を観察し、同時に敗血症に対する抗凝固薬の影響を観察する。2.電子顕微鏡によるglycocalyx層の厚さ比較と経時的変化同モデルを用い、末梢神経上の毛細血管垂直断面におけるGlycocalyxの厚さ計測を行い、群間比較を行う。測定はヒストグラムを用いた画像分析装置により遂行する。本研究は当施設病理学末梢神経部門、電子顕微鏡研究施設と共同に遂行する計画であり、検体・標本作成は専門技師により行う。これにより安定した検体作成が可能と考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.電位依存性Na受容体サブタイプ発現に対する抗凝固薬の影響平成24年度には計200匹の実験動物(Wistar系SPFラット)を使用する予定である。薬剤においては、抗凝固薬、LPS、麻酔薬を計上している。試薬としては、リアルタイムPCR施行のため、9種類分のプライマー作成代とディスポーザブル製品、酵素およびキットを計上している。2.電子顕微鏡によるglycocalyx層の厚さ比較と経時的変化同数のラットを使用するため、研究1と同額の計上となる。薬品代は23年度と同薬品を使用し、その他、電子顕微鏡用染色試薬(酢酸ランタン)代、固定液(グルタルアルデヒド、オスミウム酸結晶)代、包埋、ディスポーザブルとして写真ネガフィルム代金が含まれる。
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