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2011 年度 実施状況報告書

神経ガス中毒治療剤オキシム類が持つ毒性機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23592690
研究機関科学警察研究所

研究代表者

櫻田 宏一  科学警察研究所, 法科学第一部, 室長 (10334228)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード神経ガス / オキシム / パム / 2-PAM / ATPase
研究概要

神経ガス中毒治療において、現在、国内では2-PAMがリン酸化AChEの復活剤として用いられている。しかしながら、BBBの通過量が極めて微量であり、ほぼ脳内の解毒効果が期待できないことから、これまで数十種類の新規化合物を有機合成し、その中から解毒活性を持ち、BBBを通過できる化合物の開発を行ってきた。中でも、4-[(hydroxyimino)methyl]-1-octylpyridinium bromide (4-PAO)は、約30%の通過率であるなど、脳内の解毒効果が期待されたが、それ自体の毒性も比較的強く、本来、2-PAMを含めたオキシム類自体が毒性を持つことは知られていたが、いずれも詳細な毒性機序はこれまで明らかにされてなかった。すなわち、オキシム類の毒性機序の関する検討から得られる情報もまた新たな治療法開発に有効になるものと考える。そこで、本研究では、オキシム類自体が持つ毒性機序を明らかにするための基礎的検討として、すでに心筋のミトコンドリア酵素系に対する影響については、昨年度までの検討の中で抑制的に作用している可能性を確認してきたが、本年度は、ラット心筋におけるActomyosin Mg2+-ATPase活性に対するオキシム類の影響についての検討を行った。すなわち、はじめに、心筋よりActomyosinを抽出し、これを用いたActomyosin Mg2+-ATPase活性測定系の確立を行った。次に、2-PAMを含めた各種オキシム類について、種々の濃度に対するATPase活性を測定し、有効なデータを得ることができた。さらに、房室伝導系に与える影響についての検討として、循環動態計測システムを用いた新規化合物のラット尾静脈投与後のECG波形データ等を引き続いて採取し、心臓の収縮活動における刺激伝導系への抑制効果に関するデータをまとめることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定していた研究内容について、当初、震災の影響も有り、その実施が遅れていたが、秋以降の追い上げでおおむね達成することができたものと考える。特に、オキシム類によって産生される可能性のあるフリーラジカルの影響に関する詳細については、十分な検討が実施できなかったが、心筋のActomyosin ATPase活性測定系を立ち上げることができた点は評価できるものと考える。

今後の研究の推進方策

各種オキシム類における心筋でのActomyosin ATPase活性等への影響及び産生されるフリーラジカルによる組織障害との関連について、より詳細なデータを採取する。これにより、これまで不明であったオキシム類自体による毒性機序の詳細が明らかとなり、より効果的な治療法への新たな知見が得られるものと考えられる。

次年度の研究費の使用計画

ATPase活性及びオキシダーゼ活性測定等の実験に用いる試薬類並びに器具類等の消耗品を主とする。特に、動物実験は本研究に必須のものであり、ラット数十匹の購入を予定している。また、研究成果の発表及び本研究に関連した情報の収集を目的とした、海外関連学会への参加を予定しており、外国旅費執行の計画をしている。さらに、これまでのダータをまとめた論文作成において、その英文校閲費及び投稿費を予定している。

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公開日: 2013-07-10  

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