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2012 年度 実施状況報告書

神経ガス中毒治療剤オキシム類が持つ毒性機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23592690
研究機関科学警察研究所

研究代表者

櫻田 宏一  科学警察研究所, 法科学第一部, 室長 (10334228)

キーワード神経ガス / オキシム / パム / 2-PAM / ATPase
研究概要

リン酸化AChEの復活剤候補として、BBB通過可能な4-[(hydroxyimino)methyl]-1-octylpyridinium bormide (4-PAO)について、それ自体が持つ毒性機序を明らかにするための検討を引き続き行った。はじめに、昨年度確立したActomyosin Mg2+-ATPase活性測定系を用いて、4-PAO及び2-PAMに加え、新たに4-[(hydroxyimino)methyl]-1-(2-phenylethyl)pyridinium bromide (4-PAPE)、obidoxime及びdiacetylmonoximeの、0.04-40μM濃度におけるMg2+-ATPase活性への影響について検討をした。その結果、各種オキシム類はいずれの濃度においても、活性に対する有意な変化を示さなかった。そこで、さらにK+-EDTA ATPase活性に対する影響を調べるために、活性測定系の確立を行った後、0.04-40μM濃度の4-PAOにおける、K+-EDTA ATPase活性の検討を行った。その結果、40μM濃度の4-PAOは、controlに対して67.9±7.2%までその活性を有意に低下させた(P<0.01)。また、2-PAMの臨床濃度に相当する4μM濃度及びそれ以下の濃度では、有意な抑制を示さなかった。これらの結果より、比較的高濃度の4-PAOは、myosin分子を介してその活性を抑制する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

震災の影響により、本研究計画書作成時とは若干の計画変更もあったが、ほぼ予定していた本年度研究内容を確実に実施し、有効なデータを得ることができた点は評価できるものと考える。

今後の研究の推進方策

引き続き各種オキシム類のATPase活性に対する影響についてデータを採取する。また、これまでに明らかにしてきたオキシム類のミトコンドリア酵素系に対する影響、産生されるフリーラジカルとの関連、及び房室伝導系における抑制作用との関連等について、その詳細を明らかにする。これにより、これまで不明であった4-PAOを中心としたオキシム類の毒性機序が明らかにされ、これまでとは異なった視点からのより効果的な治療法への新たな知見が得られるものと考える。さらに、新たな解毒剤候補として有機合成した新規パム類のBBB通過の有無について、マイクロダイアリシス分析システムによる検討を実施できればと考えている。

次年度の研究費の使用計画

ATPase活性、マイクロダイアリシス分析等の測定に用いる試薬類及び器具類等の消耗品、並びに動物実験に必要なラット数十匹の購入を予定している。また、研究成果の発表及び本研究に関連した情報収集を目的とした国内外の関連学会参加を予定している。さらに、これまでに得られたデータをまとめた論文作成において、その英文校閲及び学術誌への投稿費を予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] Development of BBB-penetrative antidotes for reactivation of inhibited AChE in nerve agent poisoning2012

    • 著者名/発表者名
      Hikoto Ohta and Koichi Sakurada
    • 学会等名
      2012 International Congress of the Romanian Society of Pharmacology, Therapeutics and Clinical Toxicology
    • 発表場所
      Bucharest in Romania
    • 年月日
      20120607-20120610
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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