研究課題/領域番号 |
23592691
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
秋山 剛 独立行政法人国立循環器病研究センター, 心臓生理機能部, 室長 (70202554)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 心臓 / 虚血・再灌流 / セロトニン / 5-HIAA / マイクロダイアリシス法 |
研究概要 |
心虚血・再灌流時の心筋間質5-HT (serotonin)動態を解明するために、まず、麻酔下ウサギに心臓マイクロダイアリシス法を用い、虚血部心筋間質5-HT濃度をモニターした。虚血部心筋間質5-HT濃度は、心虚血後の再灌流により著明に上昇し、再灌流10-20 minでピークに達し、その後回復することを明らかにした。また、5-HT 再取り込み機能、およびモノアミンオキシダーゼ(MAO)による5-HT代謝機能が、心虚血・再灌流時の虚血部心筋間質5-HT動態にどのような影響を及ぼしているかを明らかにするために、Fluoxetine (5-HT再取り込み阻害剤)、あるいは pargyline (MAO阻害剤)をdialysis probeから局所投与しながら虚血部心筋間質5-HT濃度をモニターした。心筋組織の5-HT 再取り込み機能は、再灌流20 min以降の心筋間質5-HT濃度の回復に重要な役割をしていること、またMAOは、虚血・再灌流全体を通じて心筋間質5-HT濃度調節に貢献していることを明らかにした。さらに、麻酔下ラットに心臓マイクロダイアリシス法を用い、心筋間質5-HTと、5-HTのMAOによる代謝物である5-HIAA (5-hydroxyindole acetic acid)を同時モニタリングすることに成功し、虚血・再灌流時の心筋間質5-HT動態をより詳しく解析することが可能となった。また、生理的条件下では、心筋間質5-HIAA濃度は血中5-HIAA濃度より高いことから、心筋組織では5-HTのMAOによる代謝が活発であると推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書の現在までの研究計画は、心虚血・再灌流時の虚血部心筋間質5-HT動態を解明することであり、現在までに5-HT 再取り込み機能、 MAOによる5-HT代謝機能が心虚血・再灌流時の虚血部心筋間質5-HT動態に及ぼす影響を明らかにした。さらにより詳しい心虚血・再灌流時の虚血部心筋間質5-HT動態を解析するために、麻酔下ラットに心臓マイクロダイアリシス法を用いて、心筋間質5-HTと5-HIAAの同時モニタリングに成功し、薬理学的手法を用いて同時モニタリングの有効性を示した。心虚血・再灌流時の虚血部心筋間質5-HT動態を解明するという観点から、研究は申請書の予定通り順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
申請書に記載した通り、5-HTと5-HIAAの同時モニタリング法を用いて、さらに詳しく心虚血・再灌流時の虚血部心筋間質5-HT動態を解析する予定である。さらに、再灌流時に虚血部心筋間質に大量に放出される5-HTが、心筋細胞傷害にどの程度関わっているか、またその心筋細胞障害はreceptor-dependentによるものか、MAO-dependentによるものか、さらにその心筋細胞傷害を薬理学的に軽減できるかの検討を、予定通り進めていく方針である。
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次年度の研究費の使用計画 |
申請書通りに主として実験動物、薬剤、HPLC消耗品、Dialysis probe 材料等の消耗品経費に使用する予定である。
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