研究課題/領域番号 |
23592694
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
笹野 泰之 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30196191)
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研究分担者 |
中村 恵 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20431512)
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キーワード | 骨 / 修復 / 石灰化 / osteocadherin / プロテオグリカン / 発生・成長 / 分析走査電子顕微鏡 |
研究概要 |
平成25年度では、平成24年度に得られた修復骨形成過程の石灰化進行に関する実験結果を基盤として、下記の追加実験を実施した。 全身麻酔下で、生後12週齢ラットの頭頂骨に直径3.8mmの規格化骨欠損を作製した。術後4週の段階でラットを4%パラホルムアルデヒド灌流固定で屠殺し、頭蓋骨を摘出して試料とした。試料を10% EDTAで脱灰し、パラフィンに包埋した。また、無処理の生後12週齢ラットを同様に処理し、コントロールとした。本研究における実験動物の取り扱いは、東北大学における動物実験に関する指針に則って行った。 パラフィン包埋試料を薄切し、ヒドロキシアパタイトに親和性の高いプロテオグリカンとして報告されているosteocadherinに対する免疫染色を施した。修復骨に陽性の免疫反応が認められ、石灰化が進行中であることが示された。骨修復の過程にosteocadherinの発現を証明した初めての研究成果である。さらに、隣接するパラフィン切片に対してアルシアン・ブルー染色を施し、修復骨に既存骨に比較して強い染色性を認めた。修復骨にプロテオグリカンが既存骨より豊富に存在することを示した初めての研究成果である。これらの成果は論文にまとめOral Diseasesに投稿し、既に受理された。 さらに修復骨の形成過程をより深く理解するため、胎生16日齢~生後6週齢のラット頭蓋骨発生・成長過程の試料を作製し検討した。組織切片上で、胎生16日に頭蓋骨の形成が認められた。エネルギー分散型X線分析(SEM-EDX)による分析では、CaとPの元素分布は骨組織に一致して見られ、Cの元素分布とは相補的であった。骨基質における元素濃度比Ca/Pは胎生16日で低く、発生・成長に伴い上昇する傾向が見られた。また、C/Ca、C/Pは胎生16日で高く、胎生18日以降は低下した。修復過程で見られたように、ラット頭蓋骨は発生・成長過程で、有機質の相対的な減少を伴いながら石灰化が進行することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度に予定していた骨発生過程の研究に関しては、東日本大震災で被災した研究棟の改修工事に伴い実験室が長期間に渡り使用できず、実験が大幅に遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に引き続き、胎生16日~生後6週齢のラット頭蓋骨発生過程を対象として、マイクロCT、X線回折(XRD)、赤外分光法(FT-IR)およびSEM-EDX等を利用し、石灰化の進行を量的および質的な観点から検討する。研究成果を論文としてまとめ、投稿して受理掲載を目指す。 (平成26年度の研究費の使用計画) 平成26年度の研究費の主な使用計画を以下に記載する。なお、平成25年度の未使用額を平成26年度の研究遂行に使用する。 (実験用動物・ラット)胎生16日、18日、20日(約1万円/腹)、生後1週、6週、12週齢のラット(約3千円/匹)を使用する。約10腹の胎児と50匹の生後ラットが必要と見込まれ、計約250千円を使用する。(プラスチック・ガラス器具)合計約100千円を使用する。(実験用試薬)合計約200千円を使用する。(国内旅費・外国旅費)旅費として、約200千円を見込む。(論文掲載費)カラーでの掲載に伴う経費として約100千円を見込む。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度では、修復骨形成過程の石灰化進行に関する研究に加え、胎生16日齢~生後6週齢のラット頭蓋骨発生過程を対象として、マイクロCT、XRD、FT-IRおよびSEM-EDX等を利用して、石灰化の進行を量的および質的な観点から検討する予定であった。修復骨形成過程の研究に関しては、論文としてまとめ国際学術雑誌であるOral Diseasesに投稿し既に受理されたが、骨発生過程の研究に関しては、東日本大震災で被災した研究棟の改修工事に伴い実験室が長期間に渡り使用できず、実験が大幅に遅れ、未使用額が生じた。 骨発生過程を対象としたマイクロCT、XRD、FT-IRおよびSEM-EDX等の解析と論文作成および投稿を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。平成26年度の研究費の主な使用計画を以下に記載する。なお、平成25年度の未使用額を平成26年度の研究遂行に使用する。 (実験用動物・ラット)胎生16日、18日、20日(約1万円/腹)、生後1週、6週、12週齢のラット(約3千円/匹)を使用する。約10腹の胎児と50匹の生後ラットが必要と見込まれ、計約250千円を使用する。(プラスチック・ガラス器具)合計約100千円を使用する。(実験用試薬)合計約200千円を使用する。(国内旅費・外国旅費)旅費として、約200千円を見込む。(論文掲載費)カラーでの掲載に伴う経費として約100千円を見込む。
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