研究課題/領域番号 |
23592701
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
吉子 裕二 広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20263709)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | FGF23 / Klotho / ビタミンD / 骨細胞 / Phex |
研究概要 |
FGF23は骨芽細胞/骨細胞が分泌するリン利尿因子であり、血流を経て腎尿細管上皮に作用する。FGF23のシグナル伝達には、尿細管上皮に局在するFGF受容体と共受容体・膜型Klothoが不可欠である。私たちは,FGF23がリン利尿作用に加え、骨芽細胞/骨細胞に直接作用して石灰化を調節することを見出した。しかし,骨には膜型Klothoが発現しないこと、FGF2を始めとする多くFGFファミリーメンバーが共存することから、FGF23の骨での位置付けは不明である。これまでに,膜型Klothoの細胞外ドメインが切断された可溶型Klothoが骨でのFGF23の作用に不可欠であることを発見した。しかし,可溶型Klotho,FGF23がいずれも血流を循環すると,FGF23の標的は骨や腎臓などの他、生体に多数存在することになる。このような背景の中,現在以下の結果を得ている。(1) Klotho欠損マウスに 可溶型Klothoを負荷すると、骨に大きな変化(石灰化障害)が表れる。(2) 正常、KLotho欠損マウスともに、骨でのFGF23 (intact)の濃度は他臓器に比較して100倍以上高い。(3) 活性型ビタミンD3は,骨で発現するFGFファミリーのうち、FGF23のみ転写レベルで強く促進する。(4) 活性型ビタミンD3のこの作用は、ビタミンD受容体を有する他の細胞(未分化な骨原生細胞を含む)では認められない。(5) 現在のところ、(4)にエピジェネティックなメカノズムが存在するデータは得られていない。(6) FGFファミリーのうち,FGF23のみ骨芽細胞でのX 連鎖性低リン血症性くる病の原因遺伝子Phexの発現を抑制した。(7) 骨芽細胞の培養モデルで、 KlothoのパートナーTRPV5、Wntは石灰化に直接関与しない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
FGF23によって促進されるERKシグナルに関する検討項目はほとんど実施されていないが、それ以外はほぼ予定通りの進捗である。
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今後の研究の推進方策 |
ERKシグナルに関する実験項目は、その下流に存在すると思われるPhexが予想よりも早い段階で同定されたこと、PhexとFGF23との関係性がより重要な位置付けにあると考えられるため、Phexに関する検討項目の進捗を優先事項として検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度も物品費を主体とし、成果発表に関する旅費の支出を予定している。
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