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2012 年度 実施状況報告書

う蝕原因菌を特異的に溶解する新規溶菌酵素Amlの作用メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 23592702
研究機関広島大学

研究代表者

林 幾江  広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (00346503)

研究分担者 小原 勝  広島大学, 病院, 助教 (80253095)
加藤 文紀  広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (70452589)
キーワード溶菌酵素 / 基質特異性 / う喰
研究概要

Amlの ORF:SMU689 遺伝子について相同性検索を行った結果、C末端側に溶菌酵素・muramidaseタンパクと相同性を有するcatalytic domainが存在し、N末端側には、既存のモチーフ等と相同性を有しない13アミノ酸残基からなる5回の繰り返し構造が保存されていた。
組換えタンパクAmlを日本白色ウサギに免疫し抗体を作成し、western blottingや免疫染色等の検出系を確立した。
ORF:SMU689遺伝子の遺伝子不活化株を作製し、溶菌活性を示すバンドの消失をzymography及び抗SMU689血清を用いたwestern blottingにより確認した。
N末端側に保存されている13アミノ酸残基からなる5回の繰り返し構造をAmlの結合ドメインと想定し、繰り返しドメインの数が異なる組換え蛋白を作成し、菌体や細胞壁ペプチドグリカン(PG)、さらにはPGをmutanolysinで処理しPGを可溶化しHPLCで分画したムロペプチドとの結合性について、ELISAや顕微鏡観察により検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

遺伝子情報より予想されるAmlのドメイン構造を基に、さまざまな組み換え蛋白(full Aml,ΔN-term Aml, ΔN,C-term Aml, 213aa、full Aml 869 D→A等)を作成し、各領域の役割について検討を行った結果、C末側にcatalytic domain(アスパラギン酸が活性中心)が、N末端側に菌体との結合に関与している配列が存在し、Amlが十分な活性を示すには、catalytic domainとbinding domain両方の構造が必要であった。
13アミノ酸からなる5個の繰り返しモチーフがbinding domainとして働くことによりAmlの基質選択性の発現に関与していることが示唆されたため、繰り返し構造の数が異なる組換えタンパク(繰り返し構造数1~5個)を作成し、その結合能をOral Streptococcus属について検討した。繰り返しモチーフ数をすべて有するPT4(繰り返し数:5個、組み換え蛋白名:PT4)のみが、う喰原因菌となるS.mutans 及びS. sobrinusの加熱死菌体に結合した。この結合特異性は、菌体成分・PGをmutanolysinで可溶化したムロペプチド成分に対しても特異的に結合した。詳細に調べた結果、AmlはPGのグリカン鎖ではなく、ペプチド鎖を認識していることが推察された。本Amlの繰り返し構造は既存のモチーフと相同性は有していないが、結合ドメインとして働く繰り返し構造(モチーフ)の基質認識の分子機構の解明は、基質特異性を有する酵素活性調節の大きなbreak throughになる思われる。

今後の研究の推進方策

Amlの作用メカニズムを分子レベルで明らかにするため、繰り返し構造(モチーフ)の役割解明に重点を置いてきた。今後は、この結合ドメインがAmlの基質特異性の発現にいかに関与しているか、基質となるPGの構造との相関から解明する。具体的には、peptidoglycan binding protein(PBP)やD,D-carboxypeptidase等PGの生合成や修飾に関わる酵素の阻害剤を用い、阻害剤存在下で培養したAml感受性細菌のAmlに対する感受性の変化を調べるスクリーニング試験を行う。感受性が変化した株のPGの構造解析からPGの構造に作用する遺伝子を抽出し、それらの変異株を作成し、これらの変異株のAmlの感受性を野生株と比較する。Amlの基質特異性を規定する候補遺伝子の欠失、あるいは改変した菌を用いて、H24年度に作成したAmlの基質結合ドメインの組換え蛋白の繰り返し構造と基質認識の関係、酵素活性の強度について検討する。

次年度の研究費の使用計画

遺伝子改変株の作成のための試薬や分子間相互作用解析やELISA検出のための試薬及び消耗品、HPLC及び質量分析による構造解析等のための消耗品や試薬が主な経費となる。
成果発表や情報収集に旅費を申請している。

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公開日: 2014-07-24  

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