研究課題/領域番号 |
23592703
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
岡村 裕彦 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20380024)
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研究分担者 |
吉田 賀弥 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (60363157)
羽地 達次 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50156379)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | プロテインホスファターゼ / 骨芽細胞 / 骨代謝 / 骨分化 / PP2A / Osterix / 転写因子 |
研究概要 |
様々な細胞内外の現象と同様、骨芽細胞の分化は蛋白質リン酸化酵素(プロテインキナーゼ)によるリン酸化とプロテインホスファターゼによる脱リン酸化により厳密にコントロールされている。本研究は、骨芽細胞の分化と機能における蛋白質脱リン酸化酵素 (プロテインホスファターゼ) PP2Aの役割を解明することである。本年度の研究の結果、以下のことを明らかにした。1. PP2A阻害剤による骨形成への影響~マウス頭蓋冠部皮下にPP2A阻害剤であるオカダ酸 (1 nM) を2週間連続投与し in vivo 骨形成における PP2A の役割を検討した。頭蓋冠を摘出し、マイクロCTを用いて骨量・骨密度の測定を行った。2. 骨関連遺伝子の発現および石灰化能における PP2A の役割~in vitroで石灰化するマウス骨芽細胞MC3T3-E1細胞にPP2A特異的shRNA発現ウイルスを用いて、PP2Aの発現を恒常的に抑制する骨芽細胞を構築した。リアルタイムPCR、ウエスタンブロットやルシフェラーゼアッセイを用いて骨関連因子の発現や転写活性能について調べた。さらにALP 染色および von Kossa・Alizarin red染色により骨芽細胞の分化・石灰化能を評価した。オカダ酸投与群ではコントロール群に比べて、骨量・骨密度の増加が認められた。また、骨添加量も有意に増加していた。PP2A 発現を抑制した骨芽細胞では、(1) Osterix, Bone sialoprotein, Osteocalcin 等の骨分化マーカーの発現が増加した。(2) Osterix およびRunx2 のプロモーター活性が増加した。(3) ALP 活性および石灰化能が亢進した。以上の研究から、PP2A が骨芽細胞の分化を負に制御することで骨形成に重要な役割を持つ因子であることを解明し、結果の一部を論文公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
交付申請書に記載した本年度の目的は、1. 骨形成に対するPP2Aの役割をin vivoにおいて調べる。(1) マウス頭蓋冠部へのPP2A阻害剤投与と(2) 形成された頭蓋骨の骨量・骨密度の測定と評価 2. PP2Aが骨関連遺伝子の発現および石灰化能に関与する機構について調べる。(1) PP2Aの発現・活性を増加した骨芽細胞の構築と(2) 骨芽細胞分化マーカーの発現および石灰化能の評価予定していた実験は全て行うことができた。研究結果を年度内に論文公表できたこと、次年度の課題である骨芽細胞のPP2Aが破骨細胞分化に与える影響について実験を開始していることから、「当初の計画以上に進展している。」とした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、骨芽細胞の分化と機能における蛋白質脱リン酸化酵素 (プロテインホスファターゼ) PP2Aの役割を解明することである。初年度の研究計画は予定通り遂行できたので、次年度の研究推進方策に主な変更点はない。具体的には、1. 骨芽細胞におけるPP2A発現が破骨細胞分化に与える影響について調べる。(1) マウス骨髄からの細胞の採取 (2) 破骨細胞分化マーカーの発現の検討2. 骨芽細胞においてPP2Aと相互作用する因子について解析する手法を確立する。ことを目標とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は実験の無駄を予想以上に抑えられたこと、実験に使用するマウスの繁殖状況が予想より低かったことなどから翌年度への繰り越し研究費が生じた。この費用は次年度の目的である破骨細胞分化への影響の解析に必要なPCR用プライマー購入費用に充てる。この結果、より正確な解析が望まれる。次年度の研究費の主な使用計画は、1. 骨髄細胞の採取に必要なマウス飼育費用2. 破骨細胞分化の解析に必要な試薬およびPCR関連試薬・抗体3. 骨芽細胞のPP2Aと相互作用する因子の解析に必要な遺伝子工学関連試薬と遺伝子導入試薬4. 細胞培養用消耗品(ディッシュ、チューブ)である。
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