研究概要 |
歯周病現細菌のゲノム情報がcomplete, draftとも複数の株で今年までに公開されたので、CTnPg1類似CTnがそれぞれのゲノム配列中に存在するか検索を行った。検索の結果、Porphyromonas gignivalisと同じBacteroides phylumに属する菌である、Porphyromonas endodontalis, Bacteroides fragilis, Prevotella nigrescensのゲノム配列からCTnPg1類似CTnが見いだされた。そこでゲノム配列が未決定のPorphyromonas gingivalis の4株(TDC117, TDC275, SU63, GAI7802)についてCTnPg1及びCTnPg1類似CTnにて保存されているTraG遺伝子配列とmob遺伝子配列に対するprobeを用いたサザンハイブリダイゼーションを行った。用いた2種のプローブはTDC117以外の3株のゲノムDNAに明らかな反応が認められたことから、これらの株でもCTnPg1類似のCTnが存在することが明らかになった。またPrevotella intermediaの臨床分離株6株について次世代シークエンサーを用いてdraft genome配列を決定したところ、それらのうち3株にCTnPg1類似のCTnを見出した。また見いだされたCTnPg1類似CTnの両端にこれまでに明らかにしたCTnPg1のatt配列、”TTTTCnnnnAAAA”が保存されていることを確認した。本年度の研究によりCTnPg1類似のCTnが認められた菌はいずれもヒト口腔及び腸管由来の菌であった。この結果から、CTnPg1類似CTnがヒトの口腔や腸管のバイオフィルム中に存在する菌間で伝達し、実際に多くの菌の間で広く分布していることが示唆された。
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