研究概要 |
本研究では、歯周病原性細菌Porphyromonas gingivalisによる宿主細胞への侵入機構とCandida albicansまたはその菌体成分によるP. gingivalis侵入菌数増加のメカニズムを明らかにすることを目的として、これら微生物の侵入にかかわる宿主細胞のタンパク質分子の動態ならびに関連する菌体成分について探索する。申請者は、これまでにC.albicans加熱死菌(HKCA)での前培養が、P. gingivalisの宿主細胞への侵入を増加する結果を報告した。さらに、P. gingivalisのCa9-22細胞への侵入増加は、C. albicansによって増加する同上皮細胞のgalectin-3放出によって起こる可能性を示唆したので、本年度は、C. parapsilosis生菌に対するヒト細胞のgalectin-3放出等を検討した。得られた結果は以下の通りである。 1.C. albicans生菌 (MOI 1)、C. parapsilosis生菌 (MOI 1) またはC. albicans加熱死菌 (MOI 100)添加によって、Ca9-22細胞のgalectin-3放出が3時間以内に増加した。 2.C. albicans生菌 (MOI 1) またはC. parapsilosis生菌 (MOI 1) 添加によって、ヒト歯肉線維芽細胞のgalectin-3放出が3時間以内に増加した。 3.抑制実験では、細胞運動阻害薬サイトカラシンD, PI3Kまたはcalpain抑制剤(10 microM または 50 microM)を使用したが、いずれの抑制剤もC. albicans生菌によるCa9-22細胞のgalectin-3放出を抑制しなかった。すなわち、galectin-3放出は細胞骨格関連分子の活性化に非依存であった。
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