研究課題/領域番号 |
23592712
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
渋川 義宏 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (50297347)
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研究分担者 |
村松 敬 鶴見大学, 歯学部, 准教授 (00276982)
君塚 隆太 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (90287178)
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キーワード | 変形性顎関節症 / インディアンヘッジホッグ / 下顎頭 / 遺伝子発現 / 加齢 |
研究概要 |
変形性顎関節症(TMJ-OA)は加齢による退行性変化や二次的要因として歯の喪失や不正咬合などの咬合異常、軟骨代謝異常などが報告されている。平成23年度では下顎頭の形態形成において、分泌性タンパク質であるインディアンヘッジホッグ(以下、Ihh)が軟骨細胞の増殖、分化や軟骨基質の産生を調節することを報告した。平成24年度では、TMJ-OAの発症、進行とIhhの関係を遺伝子レベルで明らかにするため、TMJ-OAのモデルマウスとして老化促進マウス(SAMP8)を用い、生後8週齢のSAMP8と正常老化マウス(SAMR1)の下顎頭軟骨の特徴を解剖学的、組織学的および骨・軟骨関連遺伝子、ヘッジホッグ関連遺伝子を分子生物学的(in situ ハイブリダイゼーション、レーザーマイクロダイセクション、定量的RT-PCR)に解析した。その結果、SAMP8の下顎頭表層部は粗造で、アグリカンの分布が著しく減少し、軟骨内骨化の亢進が認められた。Ihhは前肥大軟骨細胞に、Patched 1は増殖層にみられたが、SAMP8はSAMR1より遺伝子発現が減少し、MMP13の遺伝子発現の増加が認められた。つぎに、両マウスの切歯の一部を削合し、咬合異常モデルを作製、削合2週、4週後に同様に解析した。その結果、SAMP8はSAMR1よりも下顎頭の矮小化と形態異常が認められ、アグリカンが著しく減少し、増殖層におけるPCNA陽性細胞の減少が認められた。さらに、SAMP8がSAMR1よりもIhh、Patched 1、Gli1、Col II、Aggrecanの遺伝子発現が減少し、MMP13の遺伝子発現の増加が認められた。以上の結果より、SAMP8の下顎頭軟骨の退行性変化はヘッジホッグシグナルの変異が関与し、咬合異常により退行性変化が促進することが示唆された。
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