研究課題
1. 癌細胞におけるDEC2のエピジェネティックな制御機構の解明 DEC2の発現が消失している一部の口腔扁平上皮癌細胞株に、DNAメチル化阻害剤(5-アザ-2`-デオキシシチジン、以下5-Aza)やヒストン脱アセチル化阻害剤(trichostatin A、以下TSA)を処理することでDEC2発現が回復し、DEC2がエピジェネティックな制御を受ける遺伝子の候補となることが示唆された。具体的に、ヒト口腔扁平上皮癌細胞株(Ca9-22)に、5-AzaやTSAを投与することによりDEC2の発現が回復することを見出した。DEC2の受けるエピジェネティックな制御を詳細に解析した。方法としては、ヒト口腔扁平上皮癌細胞株(Ca9-22)からゲノムDNAを抽出し、バイサルファイトDNAに添加し、BSPプライマーを用いてシークエンシング方法でDEC2遺伝子のDNAメチル化を検討した。さらにマイクロダイジェクションを用いて患者の正常及び癌組織のパラフィン切片からDNAを抽出し、同様にDEC2のDNAメチル化を解析した。 ヒト口腔扁平上皮癌細胞株(Ca9-22)における、DEC2を含む遺伝子の網羅的なメチル化解析を行うために、イルミナ社のHuman Methylation 27 Bead Chipを用いてメチル化解析を行った。CpG アイランドの位置や配列は、UCSC Genome Browserを利用して調べた。 アジレント社のChip-on-chip (chromatin immunoprecipitation-on-chip) を用いて、マイクロアレイ手法による配置解析より、口腔扁平上皮癌におけるメチル化、ヒストン修飾、DNA複製/修飾/修飾の解析を行い、ChIP-on-chip研究により得 られた新情報と、すでにある膨大な遺伝子発現データを組み合わせ中です。
2: おおむね順調に進展している
DEC2のメチル化の影響が確認でき、Chip-on-chipにより他の低酸素関連遺伝子についても解析可能であり、影響の強い遺伝子に着目できる。
2. In vivo光イメージングを用いた低酸素領域および低酸素関連遺伝子の解析(1) 低酸素応答レポーター5HRE-Luciferaseを用いた低酸素細胞の光イメージングHIF-1活性化領域を可視化、定量化し経時的な変化を観察するHIF-1の結合領域であるHREを5つ繋いだプロモーターの下流に化学発光酵素ルシフェラーゼをコードしたレポータープラスミド (5HRE-Luciferase) を安定に保持する癌細胞株を構築する。口腔扁平上皮癌細胞株(HSC-3)にLuciferase発現ベクターを導入し、選択培地を用いて遺伝子導入株を選択する。単離した安定発現細胞株の低酸素応答を確認するため、低酸素および有酸素条件下培養後におけるルシフェラーゼ活性比を確認し、低酸素で数百倍の活性を有する株を選択する。選択したHSC-3/HRE-Lucを皮下移植し、腫瘍内の化学発光を、好感度CCDカメラを搭載した動物用光イメージング装置IVIS spectrum (Caliper社) を用いて経時的に観察する。また、経時的な低酸素関連遺伝子(HIF-1、DEC)の発現を免疫組織学的に解析し、また組織よりRNAを抽出しリアルタイムPCR法より解析する。また、オリエンタル酵母工業株式会社から5HRE-NLS-ODD-ルシフェラーゼの遺伝子構築物を導入したODD-Tg Mouseを購入することができ、癌、虚血部位の化学発光を可視化することができ、経時的変化を容易に確認する。
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