研究課題/領域番号 |
23592720
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
村上 幸孝 朝日大学, 歯学部, 教授 (60239506)
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キーワード | 歯周病関連細菌 / 蛋白質 / 翻訳後修飾 / 糖鎖修飾 / リン酸化修飾 / 糖蛋白質 / リン酸化蛋白質 |
研究概要 |
歯周病関連細菌のうち、特にPorphyromonas gingivalisを用いて、翻訳後修飾された表層蛋白質を網羅的に同定し、糖鎖修飾蛋白質とリン酸化修飾蛋白質の全様を把握する。これにより、糖鎖修飾とリン酸化修飾の関連性についての情報を得る。その後、主な糖蛋白質の修飾糖鎖構造を推定したうえで、関連する糖鎖遺伝子の変異株を用いて、糖鎖修飾の有無が病原性の発現に及ぼす影響を明らかにする。一方、リン酸化に関わる遺伝子の変異株も作製し、リン酸化の有無が病原性の発現に及ぼす影響を明らかにする。このような内容を本研究の目的とした。 前年度までに、P. gingivalis菌体成分を二次元電気泳動により展開後、糖染色で網羅的に糖蛋白質を検出し、質量分析により同定を行った。その結果、OmpA様蛋白質PGN0729に加えて、PGN0876、PGN0743およびPGN1513を新たに糖蛋白質として見い出した。これらの糖蛋白質の変異株を作製し、野生株と比較したところ、増殖やバイオフィルム形成に関与することが明らかになった。平成24年度には、以上の内容をまとめた論文を公表した。 また、平成24年度は、P. gingivalis菌体成分からリン酸化蛋白質をアフィニティカラムで分離し、SDS-PAGEにより展開後、質量分析による同定を行った。その結果、少なくとも6種類の新奇な蛋白質がリン酸化されていることが分かった。糖鎖修飾とリン酸化修飾を併せてもつ蛋白質は、現在のところ見つかっていない。同定した蛋白質のリン酸化の状態をさらに確認するために、特異的リン酸化蛋白質染色や抗リン酸化抗体を用いたウェスタンブロットによる検討も行っている。二次元電気泳動を利用した網羅的なリン酸化蛋白質の検出も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歯周病関連細菌P. gingivalisに存在するリン酸化修飾蛋白質の同定を行うことができた。糖鎖修飾蛋白質に関しては、糖鎖修飾に関与すると考えられる糖転移酵素遺伝子や他の糖鎖合成関連遺伝子の選定を進め、同様にリン酸化に関わる遺伝子の選定も行っている。今後、野生株と遺伝子欠失変異株とを比較し、菌体全体および表層の翻訳後修飾蛋白質の変化を調べることが必要である。
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今後の研究の推進方策 |
翻訳後修飾の生物学的意義を明らかにするために、糖鎖修飾関連遺伝子およびリン酸化修飾関連遺伝子の変異株を作製する.それらの遺伝子欠失変異株における病原性の変化を、口腔細菌との共凝集能やバイオフィルム形成能、さらに宿主細胞への付着・侵入性を通じて解析する。翻訳後修飾が宿主細胞のサイトカイン産生能に及ぼす影響やシグナル伝達経路に及ぼす影響についても検討を行う予定である。以上の結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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