研究概要 |
本年度はT. denticola の TDE2725 の一次構造が c-di-GMP の合成に関与する GGDEF motif を含むことに注目し,この組換えタンパク質を精製し,その酵素学的活性の検討を行った.その後,TDE2725遺伝子の不活化を試み,その形態や性状の解析を行った.方法として、TDE2725の組換えタンパク質は pGEX6p-1 ベクターを用いて精製し,GTPを基質として酵素反応を行い,産生される c-di-GMP はHPLC にて分離し,解析した.また,TDE2725遺伝子の欠失変異株は,同遺伝子をエリスロマイシン耐性遺伝子に置換して作製した.その変異株においてポリエチレンプレートを用いた付着能試験および軟寒天培地を用いた運動能試験を行い,野生株との比較検討を行った.また,走査型電子顕微鏡および透過型電子顕微鏡により形態の観察を行った.本研究における TDE2725 タンパク質の反応条件においては,GTP を基質として c-di-GMP は検出されず,TDE2725 は c-di-GMP の合成に関与していない可能性が示唆された.変異株と野生株と比較して,発育曲線,運動能,性状,形態には顕著な違いは認められなかったが,付着能が減少する傾向が認められた.この所見から,TDE2725遺伝子はT. denticolaの付着関連機能を持つ可能性が示唆された.
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