研究課題
本研究はメラトニンと象牙質における成長線の周期性との関連を組織学的及び分析学的に検証し、メラトニンが象牙質に及ぼす作用を解析することを目的とした。本研究は出生後5日、6日、7日令のSDラットを対照群(0.5%アルコール含有飲料水)、低濃度群(0.5%アルコール+20μg/mlメラトニン含有飲料水)、高濃度群①(0.5%アルコール+100μg/mlメラトニン含有飲料水)、高濃度群②(0.5%アルコール+1000μ/mlメラトニン含有飲料水)の4群に分けて行った。試料は昼間と夜間とで、摘出した。試料は組織学的に観察するとともに、SEM-EDS分析、EPMA分析、ラマン分光分析にて組成分析を行った。HE染色では2本の濃染された成長線が観察された。対照群と低濃度群ではヘマトキシリン淡染層が観察され、対照群と比べて低濃度群は淡染層の幅が狭まり、高濃度群は淡染層が消失した。投与群では象牙前質に石灰化球が多く見られ、投与濃度依存的に象牙前質中の石灰化球の数や大きさは増加した。ALP染色では対照群と比べて高濃度群により強いALP活性が見られた。SEM-EDS分析、EPMA分析では、夜間の投与群でCaやPが多く含有していた。ラマン分光分析でも夜間試料で、リン酸基ピークが高濃度群でピークが高く、半価幅も狭かった。メラトニン投与群ではリン酸基の分子配向性やアパタイト結晶性が良かった。アザン染色の結果では、メラトニン投与群の切歯や臼歯において、新たな成長線が1本確認できた。アザン染色は膠原線維を染める特殊染色であることから、メラトニン投与によって象牙芽細胞のコラーゲン分泌が促進され、膠原線維の密度が増加し、成長線が形成されたと考察される。メラトニンによる概日リズム(サーカディアンリズム)の同調効果が象牙芽細胞の石灰化周期とコラーゲン分泌周期を促進し,成長線の形成機構に影響されたと考えられる。
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