研究課題/領域番号 |
23592728
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宮崎 達也 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (90538638)
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研究分担者 |
鈴木 治 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (60374948)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | コンドロイチン硫酸 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 |
研究概要 |
骨基質にはdecorinやbiglycanなどの種々のプロテオグリカン(PG)が存在する。我々は、これまでに、PGの糖鎖であるグリコサミノグリカン(GAG)のうち、多硫酸化構造を有するコンドロイチン硫酸(CS)が、BMP-4を介し骨芽細胞株MC3T3-E1の分化を促進することを明らかにした。本研究では、まず、MC3T3-E1細胞が産生するPGの種類およびCS構造異性体について解析した。MC3T3-E1細胞のマトリックス中のウロン酸量は、骨芽細胞の分化に伴い増加していた。さらに、HPLCによる2糖分析の結果、骨芽細胞の分化に伴いCS-E量の増加も認められた。コンドロイチナーゼ(CHase)によりMC3T3-E1細胞の表面のCSを分解すると、骨芽細胞への分化が抑制された。また、MC3T3-E1細胞はdecorinおよびbiglycanを産生していることを、それらに対する特異抗体による染色にて確認した。このうち、biglycan量は、骨芽細胞の分化前に増加していた。これらの結果から、MC3T3-E1細胞のbiglycanの糖鎖に含まれるCS-Eが、MC3T3-E1細胞の分化を調節していることが示唆された。しかしながら、マウス初代骨芽細胞を用いた検討の結果、CS-Eは逆に骨芽細胞分化を抑制した。株細胞と初代細胞に対するCS-Eの作用の差異については現在解析中である。一方、破骨細胞分化に関しては、マクロファージ株RAW264に対する作用と同様に、CS-Eはマウス初代骨髄細胞の分化を抑制した。RAW264細胞をCHase処理した場合には、破骨細胞分化への影響は認められない。したがって、骨芽細胞のマトリックスに存在するCS-Eが、破骨細胞への分化も調節している可能性が考えられる。今後は、CS-Eの骨芽細胞および破骨細胞分化の作用機序について明らかにしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス骨髄由来の骨芽細胞の培養系構築に少し時間がかかったが、骨芽細胞および破骨細胞の培養系の構築およびCS-Eの作用について結果を得ることが出来た。また、MC3T3-E1細胞はbiglycanとCS-Eを産生していることも明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
CS-Eの破骨細胞分化抑制の作用機序として、RANKL、OPG、BMPなどの増殖・分化調節因子との親和性ついて検討する。また、接着分子であるMac-1やインテグリンなどの接着分子を介した作用の可能性についても検討する。骨芽細胞、破骨細胞のそれぞれの培養系のみならず、両者の共存培養系を構築し、CS-Eの作用についても明らかにしていく予定である。また、MC3T3-E1細胞と異なりCS-Eは初代骨芽細胞に対し分化を抑制したため、その理由についても解析を進めていきたいと考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験用薬品として、サイトカイン(RANKL、RANK、M-CSF、OPG、BMP-4、ビタミンD3等)、抗体(CD11b、CD18、ICAM-1等)、ビオチン標識用試薬、培地等の購入に120万円を予定している。また、動物費:5万円、実験用消耗品(培養および測定用器具):30万円、旅費等(実験、打ち合わせ):5万円を加え、次年度は160万円(直接経費)の研究費の使用計画である。
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