研究課題/領域番号 |
23592729
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
穐山 雅子 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任助教 (30436646)
|
研究分担者 |
中浜 健一 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (60281515)
森田 育男 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60100129)
|
キーワード | ドコサヘキサエン酸 / 破骨細胞 / 分化 |
研究概要 |
マウス骨髄由来単核球(BMM)をRANKL(Receptor Activator for Nuclear Factor kappa B Ligand)またはM-CSF(Macrophage-Colony Stimulating Factor)+RANKL存在下で培養し、破骨細胞への文化を誘導するin vitro単培養系を用い、破骨細胞分化のどの段階で分化を抑制しているのか、遺伝子発現を指標に解析した。 DHAを添加する期間を変えて実験した結果から、破骨細胞分化後期の細胞融合過程に作用していることが明らかとなったため、破骨細胞分化後期での遺伝子発現変化について、マイクロアレイを用いて検討した。RANKL無処置、RANKL無処置およびDHA処置、RANKL処置、RANKL処置およびDHA処置について検討したところ、RANKLで発現が誘導され、DHAで抑制される遺伝子群に破骨細胞分化関連遺伝子が多く含まれていた。さらに、RANKL無処置、RANKL処置、RANKL処置およびDHA処置、RANKL処置およびEPA処置で比較し、DHAとEPAで反対の動きをする遺伝子群を検索した。このグループには細胞接着、細胞運動などに係る遺伝子などが多く抽出された。今後、抽出したこれら遺伝子の作用機序についてさらに検討を進めていく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DHAの破骨細胞形成抑制作用に関連する受容体から検討を進めるという当初の計画からは変更があるが、マイクロアレイによる遺伝子解析結果などから、DHAが作用する遺伝子群が、EPAとの違いに関してデータを集めることができた。GO解析の結果、DHAとEPAで反対の変動を示す遺伝子ではembryo development, cell motility, cell adhesion, cell morphogenesis, cell-cell signaling, lipid metabolic processなどの遺伝子群が濃縮されていた。これらの中には破骨細胞分化に関連するDC-STAMP、Siglec-15、Tspan7およびMst1rなどが含まれた。今後はこれらの結果をもとに機能解析を行っていく。
|
今後の研究の推進方策 |
DC-STAMPは破骨細胞形成に必須であり(Kurita, et al., J Exp Med 2004, 200, 941-946)、特に細胞融合過程に必要であると報告されている(Yagi et al., J Exp Med 2005, 202, 345-351)。また、Siglec-15は多核化およびアクチンの再構成などに必要と考えられている(J Biol Chem 2012, 287, 17493-17502)。これらのマイクロアレイの解析結果から抽出された、DHAの破骨細胞分化抑制作用に関連して変動が認められた種々の遺伝子の機能解析を行う(森田・中浜・穐山)。DHAの作用とシグナル伝達経路の関与についてタンパク発現・リン酸化についてもウェスタン・ブロッティング法等によって検討する(中浜・穐山)。 食品・サプリメント等から様々な脂肪酸が摂取されている。これまでn=3系として類似の効果をもつと思われていた破骨細胞分化に対してはDHAとEPAが反対の作用をもつことが明らかとなり、他のn=3系脂肪酸(DPAなど)の作用およびこれらの相互作用について検討する(中浜・穐山)。
|
次年度の研究費の使用計画 |
前述の推進方策に基づいた実験を行うため、主に下記の目的で研究費を使用する。 マウスから採取したBMMを用いた培養実験を行うための動物、培地等試薬、培養器具などを購入する。 DHAの作用機序解明のための実験系としてリアルタイムPCR、ウエスタン・ブロッティング、プロモーター解析等を行うための試薬、抗体等を購入する。 実験結果について学会等で発表するための出張旅費を使用する。
|