研究課題/領域番号 |
23592730
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
北川 純一 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50373006)
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研究分担者 |
山村 健介 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90272822)
山田 好秋 新潟大学, プロジェクト推進室, 教授 (80115089)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | QX-314 / TRPV1 / 麻酔 |
研究概要 |
カプサイシン併用により感覚神経だけを麻酔できるQX-314は、次世代の麻酔薬として注目されている。しかし、神経損傷を起因とする神経因性疼痛に、QX-314の麻酔効果が発現するかは不明である。なぜなら、神経損傷後の神経因性疼痛は、カプサイシン受容体(TRPV1)を多く発現するC線維の減少を伴う、神経線維の異常な再生に起因する可能性があるからである。本研究は、神経損傷後の神経因性疼痛の病態を詳細に分類し、1)神経損傷後の神経因性疼痛の病態とQX-314の麻酔効果、2)神経損傷後の神経因性疼痛の病態と受傷部再生神経線維におけるTRPV1発現状態の関連性、3)QX-314の総合的な麻酔効果および適切な使用法の検討、について明らかにすることを目的としている。本年度において、次の様に研究は遂行された。ラット下歯槽神経切断後、神経因性疼痛を発症しない群と発症した群とに分け、それぞれ2、3、4週間ごとにQX-314の麻酔効果を調べた。4週間にわたり神経因性疼痛を発症しなかった群において、QX-314は神経切断前と同じくらいの麻酔作用を発現した。しかしながら、2、3週間にわたり神経因性疼痛を発症しなかった群および3、4週間にわたり神経因性疼痛を発症した群に対するQX-314の麻酔作用はわずかに減弱した。さらに、2週間にわたり神経因性疼痛を発症した群において、QX-314は麻酔作用を発現しなかった。これらの結果は、QX-314の麻酔作用は神経因性疼痛の病態に依存していることを示唆している。さらに、QX-314の作用発現機序を考慮したとき、神経損傷後に神経因性疼痛を発現した場合、TRPV1チャネルを主に発現するC-線維の再生が緩徐であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの達成度を目的ごとに評価する。1)神経損傷後の神経因性疼痛の病態とQX-314の麻酔効果について、神経因性疼痛モデルラットを作製し、その病態発現を2~4週間、行動学的実験により調べた。さらに、疼痛病態ごとのQX-314の麻酔効果についても行動学的実験によって研究し、結果を得た。2)神経損傷後の神経因性疼痛の病態と受傷部再生神経線維におけるTRPV1発現状態の関連性について、神経切断後、再生時に発症する異常疼痛の時間経過に伴う、TRPV1の発現状態を免疫組織学的研究により結果を得た。3)QX-314の総合的な麻酔効果および適切な使用法の検討について、TRPV1発現とQX-314の麻酔効果について、次年度から本格的に研究し、QX-314の適切な使用法の検討を行う計画である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終目的である「QX-314の総合的な麻酔効果および適切な使用法の検討」について、神経切断後の再生神経におけるTRPV1チャネルの発現様式とQX-314の麻酔効果発現を詳しく調べると共に、カプサイシンを併用しなくてもQX-314の麻酔効果が発現できるような機序を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究に対する本年度の交付金の未使用はない。次年度の交付予定の研究費は、おもに免疫組織学的研究における薬剤の購入費として使用する予定である。
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