研究課題/領域番号 |
23592730
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
北川 純一 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50373006)
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研究分担者 |
山村 健介 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90272822)
山田 好秋 新潟大学, その他, 理事 (80115089)
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キーワード | QX-314 / TRPV1 / 麻酔 / カプサイシン / 再生神経 |
研究概要 |
神経障害性疼痛に対し、次世代の麻酔薬として注目されているQX-314の麻酔効果が発現するかは不明である。本研究は、ラット下歯槽神経切断後、神経障害性疼痛を発症した群(NP)と発症しない群(non-NP)に分け、それぞれ2、3、4週間ごとにQX-314の麻酔効果を、行動実験学的に調べた。さらに、三叉神経節におけるTRPV1の発現様式を、神経切断後からの時間経過(2~4週)に従い、免疫組織学的手法を用いて検討した。 神経切断から2週間後に神経障害性疼痛を発症した群(2week-NP)は、あきらかな逃避閾値の低下を示した。2week-NP群におけるQX-314投与は、逃避閾値に変化を示さないため、麻酔作用の発現がほとんど観察されなかった。神経切断から3、4週後まで持続して神経障害性疼痛を発症している群に対するQX-314投与は、神経切断からの時間経過が長いほど効果的に麻酔が作用することが観察された。免疫組織学的実験から、神経障害性疼痛を発症した場合、おそらくC線維であろう細い神経線維においてTRPV1の発現数が減少していた。 近年、感覚神経だけを麻酔できるとして注目さているQX-314は、神経損傷を起因とする神経障害性疼痛には充分な麻酔効果を発現しない可能性が示唆された。つまり、QX-314の使用方法については、痛みの原因を充分考慮する必要があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、神経損傷後の神経障害性疼痛の病態を分類し、 1)神経切断による神経障害性疼痛の病態とQX-314の麻酔効果 2)神経切断による神経障害性疼痛の病態と再生神経線維におけるTRPV1チャネル発現状態の関連性 について、行動学的および免疫学的実験により詳細に調べ、研究内容を国際学術論文に発表した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終目的である「QX-314の総合的な麻酔効果および適切な使用法の検討」について、カプサイシンを併用しなくてもQX-314の麻酔効果が発現できるような機序を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究に対する本年度の交付金の未使用はない。 次年度の交付予定の研究費は、カプサイシンを併用せずにQX-314の鎮痛効果が発現できる仕組みを調べるための、神経障害性疼痛モデル動物および薬剤の購入費として使用する予定である。
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