研究課題
最終年度に当たる今年度はこれまで得られた研究成果をより詳細に検討することを目的とした。1. マウス筋芽細胞株C2C12を用いて経時的なTNFaによるCCN2の産生誘導を調べた結果、TNFa刺激後3時間及び6時間ではCCN2の産生量に影響は見られなかったが、刺激後24時間及び48時間でCCN2の産生量の増加が見られた。2. CCN2発現プラスミドを遺伝子導入して、CCN2を強制発現させたC2C12細胞は対象群と比較して核内増殖抗原(PCNA)の産生量の増加が見られた。3. C2C12細胞に組換えCCN2タンパク質(rCCN2)を添加し、MyoDの産生量を調べた結果、rCCN2添加によって用量依存的に増加した。一方、rCCN2刺激5日後ではMyogeninの産生量は逆に減少した。4. CCN2欠損マウスから単離した筋芽細胞を用いて筋芽細胞分化における影響を解析した結果、筋管形成の抑制と筋芽細胞の分化マーカー遺伝子の発現量の減少が見られた。5. BMP2とCCN2をマウス初代筋芽細胞及びC2C12細胞に共存刺激すると、BMP2単独刺激によって上昇したOsterixの遺伝子発現レベルは低下したが、アルカリホスファターゼ(ALP)活性はほとんど影響が見られなかった。これまで筋組織におけるCCN2の作用は筋分化を抑制し線維形成を引き起こす病的側面だけが強調されてきたが、本研究課題の研究期間全体を通じて、CCN2は筋芽細胞の細胞増殖を促進すると共に、筋芽細胞の初期分化を促進する重要な生理的な役割があることを明らかにした。また、CCN2はBMP2によって誘導される骨芽細胞の初期マーカーであるALPには影響を与えず、後期分化マーカーであるOsterixの遺伝子発現レベルの抑制に関わっていると考えられたが、より詳細な解析が今後の研究課題である。
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