研究課題/領域番号 |
23592735
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
野間 隆文 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (40189428)
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キーワード | 切歯歯原性上皮細胞 / エナメル芽細胞分化 / 遺伝子発現調節 / 転写調節 / ヒストン修飾 / 翻訳後修飾 / プロテアソーム |
研究概要 |
平成24年度はラット切歯歯原性上皮細胞株G5細胞におけるSp6遺伝子誘導系の作製と遺伝子発現誘導後の鉄代謝変動に関する解析をめざした。 まず、一過性の遺伝子発現誘導実験系の解析から、サンプル間でSp6遺伝子産物は均一ではなく、複雑な発現パターンを示した。このことは、転写後その量に応じて単純に翻訳量が規定されているのではなく、タンパク質発現量を規定する調節を受けていることを示唆した。つまり複雑な遺伝子発現制御を受けていることが明らかとなった。 そこで、基礎実験として、G5細胞でのSp6遺伝子を構成的に発現する安定株を用いて、翻訳後のタンパク質安定性の解析を行った。その結果、Sp6タンパク質は翻訳後直ちにプロテアソーム系による分解を受けることを見出した。また、プロテアソーム活性自体は遺伝子導入に用いた歯原性上皮細胞株G5細胞、Sp6遺伝子を導入したG5細胞、さらにSp6遺伝子を発現誘導したG5細胞いずれにおいても,コントロールとして用いた高プロテアソーム活性の細胞と同レベルであることを確認した。 さらに、転写レベルでの調節機序の検討から,転写産物は、外来性に導入したSp6遺伝子の遺伝子プロモーター部分でのメチル化制御を受けるとともに,ヒストンの修飾による発現調節を受けていることを見出した。 したがって、これらの研究成果から、Sp6遺伝子の誘導系の構築には細胞側の制御機構をコントロールする必要があることが分かった。この知見を踏まえて、Sp6tet誘導システムの活用がSp6による鉄代謝機構の解明に必要であることを確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、Sp6遺伝子発現調節に関しては,種々の調節を受けることは明らかになっていなかった。この点でSp6分子の生物活性制御機構の解明に繋がったことは大きな発見であり、この新たな知見の成果を英文論文にインターネット上に公表でき、世界中の研究者に伝えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
Sp6遺伝子の転写調節、転写後調節、翻訳調節,翻訳後調節の各段階の制御法を探索・検証した後、Sp6の一過性に誘導する系を構築し、鉄代謝への関与の解明に繋げる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
Sp6tet誘導系の構築に加え、Sp6遺伝子の転写調節、転写後調節、翻訳調節,翻訳後調節の各段階の制御法を探索するために、遺伝子操作試薬や生化学試薬を用い,論文作製を行うことに使用する予定である。
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