研究課題/領域番号 |
23592737
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
赤松 徹也 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (80294700)
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研究分担者 |
細井 和雄 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10049413)
長谷川 敬展 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (50447273)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 顎下腺 / 腺房細胞 / HSG細胞 / サチライシン様前駆体蛋白質変換酵素 / PACE4 / 水チャネル / AQP5 / bHLH型転写因子 |
研究概要 |
これまでに、増殖・分化因子前駆体等の活性化に関わるサチライシン様前駆体蛋白質変換酵素PACE4の活性や発現を阻害剤や特異抗体、あるいはsiRNA等で阻害または抑制することで、培養ラット胎仔顎下腺の分枝形成が抑制され、腺房細胞の増殖・分化が抑制された結果、唾液分泌に関わる水チャネルAQP5の発現が低下することを報告した(Akamatsu et al. 2009). 一方、ヒト唾液腺由来細胞株であるHSG細胞は、マトリゲルでの三次元培養等により腺房細胞様に分化することが知られ、我々も人工マトリゲル、メビオールゲルや低付着性培養器材、ハイドロセルでHSG細胞を培養すると、経時的に球形状の腺房様の構造が形成されることを確認した。通常のプラスチックシャーレでの培養時のHSG細胞ではPACE4とAQP5、および、PACE4の発現制御に関わると考えられるbHLH型転写因子Mist1の発現は認められないのに対して、メビオールゲルにて培養したところ、培養開始1, 3, 5日目にPACE4、AQP5、Mist1、いずれの発現も経時的に増加傾向にあることが示唆された。Mist1は膵臓腺房細胞分化過程で重要な役割を果すことが報告されている。従って、唾液腺腺房細胞の分化・成熟過程ではMist1を介したPACE4の発現誘導が起こり、分化の進行の結果、AQP5の発現が誘導される可能性が示唆された。引続き検討する必要があるが、同時に条件検討に時間を要すると考えられることから、一部、in vivo RNAiにも着手し始めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HSG細胞での解析はやや遅れているが、一部、in vivo RNAi実験の条件検討にも着手し始めており、全体としては順調である。
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今後の研究の推進方策 |
上記研究結果を基に,引き続き解析する.合わせて,幹細胞マーカーとして知られるが,その機能が未解明なSca-1の生理機能を究明する.これまでに,Sca-1がマウス唾液腺で通常は介在部導管細胞に発現するが,腺房部の再生が誘発される主導管結紮後には介在部導管細胞以外の導管細胞に広範に発現が著増することから,Sca-1が腺房細胞の発生・再生・分化と密接に関わる可能性が考えられる.従って,Sca-1についても同様に,その発現を抑制した場合の影響等を解析する.また,腺房細胞分化誘導過程でPACE4(SPC4)がターゲットとする増殖・分化因子の候補を,PACE4(SPC4)の機能や発現を抑制した上で,各種リコンビナント増殖因子を用いたレスキュー実験等により探索する.増殖・分化因子の候補が同定された場合は,その増殖・分化因子や関連するシグナル伝達経路を阻害剤,特異抗体,siRNA等により抑制して,その影響を解析する.また、次年度の本格実施に向け、in vivo RNAi実験の条件検討も引続き行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度への繰越金については、収支状況報告書に記載の通り、全額発注・納品済みであるが、決済が未完了のためで、実質的な繰越はない。当初の計画からの大きな変更は現時点ではなく、予定通り、物品費(消耗品費)、学会出席等国内旅費、および成果投稿料等その他の経費に使用予定である。
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