研究課題/領域番号 |
23592738
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
石川 康子 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (40144985)
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研究分担者 |
庄野 正行 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 技術職員 (60380101)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 唾液腺 / 水チャネル / 細胞核 / 脂質ラフト / 耳下腺 / アクアポリン / 国際研究者交流 / 国際情報交流 |
研究概要 |
1)無刺激・刺激動物の作成と耳下腺におけるAQP5やAQP5の基盤分子の細胞内局在解析-8週齢の雄性ラットの尾静脈より生理食塩水又はセビメリン(5mg/kg)を投与して経時的に耳下腺を摘出して凍結切片を作製した。抗AQP5抗体、ラフトのマーカー(Flotillin-2, GM1)、低分子量GTPaseや核膜のマーカー(ラミンB受容体)の抗体と反応後、二次抗体、Alexa Fluor488 および568を用いて免疫染色し、共焦点顕微鏡で観察したところ、セビメリンで刺激1.5~4.5分後、AQP5のRab5,GM1,ラミンB受容体との共局在が認められた。2)電子顕微鏡による微細構造解析-摘出した唾液腺をパラホルムアルデヒドとカコジル酸緩衝液で固定後切片を調製し、抗AQP5抗体と反応させ、コロイド金結合抗IgG抗体で可視化し、電子顕微鏡解析するとセビメリンで刺激3分後に核膜でのAQP5の局在を認めた。 3)無刺激・刺激動物の耳下腺単離核の調製とAQP5やAQP5の基盤分子の核内局在解析-ビメリン投与後経時的に唾液腺を摘出し、DTT,MgCl2を含むSucrose でホモゲナイズし、スィングローターで24,000rpm,90分間遠心後、沈渣を洗浄しRNA /DNAが0.25以下を使用した。免疫染色は1)の方法で、抗AQP5抗体と共にフィブラリン、SC35、PML、p80コイリン、hnRNPI/PTBの抗体を用いて行った。共焦点顕微鏡では3分後の単離核でAQP5のフィブラリンとの共局在が認められた。4)核へ移動したAQP5がヌクレオポリン核膜孔複合体蛋白質の構成一員となるか別の核膜孔を形成するかの検討-調製した組織切片や単離核標本をヌクレオポリンを構成する蛋白質・Nup93,Nup107/160の抗体やラミン受容体の抗体と抗AQP5抗体を用いて二重染色し、1)の方法で両局在を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
セビメリン刺激により脂質・ラフトを含む細胞内小胞がRab5の誘導により細胞内移動して核膜に集積されることを明らかにできたので、順調である。Rab5が細胞内移動して核膜に集積される意義の解明は、これから行う。
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今後の研究の推進方策 |
ラットの尾静脈へセビメリンを投与1.5~4.5分後の細胞核でAQP5のラミンB受容体との共局在が共焦点顕微鏡観察で認められた。また、電子顕微鏡でも細胞質に局在する細胞内核小胞に存在していたAQP5が、セビメリン投与1.5~4.5分後、細胞核膜に局在することを認めた。局在移動は定かになったので、今後は、核膜でのAQP5の機能の解明に力を入れる。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)AQP5が核膜で輸送する水以外の物質の解明-AQP5が核膜に凝集した核、核膜にほとんど無局在核の外液ヘ蛍光標識アデニン、アデノシン、アデニル酸、ウラシル等を加え低張に保ち、核内の蛍光量を測定する。反対に核外溶液を高張にして外液のmRNA,tRNA,UsnRNA, rRNA,pre-miRNA,miRNA量を測定する。ヌクレオポリンの阻害薬の存在下でも測定し、ヌクレオポリンによる輸送影響を除外して検討する。AQP5の阻害薬HgCl2の存在下でも検討する。 更に多くの物質を探索するため、核外液や核ホモジネートを電気泳動にかけ、各種抗体を用いて解析する。2)AQP5が核膜上の脂質・ラフトで機能を発揮するのか ノンラフトで機能を発揮するのかの解明-ラフトを崩壊させる薬物を核外溶液に添加して1)と同様の実験を行い、ラフト崩壊薬の存在下でも同様の結果がでるか検討する。ラフト崩壊薬で処理した核を免疫染色し、共焦点顕微鏡で解析する。3)AQP5が結合するDNAの配列決定およびDNAの領域の決定-セビメリン投与ラットから経時的に唾液腺を摘出し、ホルムアルデヒドで処理してAQP5とDNAをクロスリンクさせた後、核を単離する。超音波処理にてDNAを切断後、抗AQP5抗体を用いてクロマチン免疫沈降を行う。沈降物を脱クロスリンク後、DNAフラグメント末端の修復とPCR増幅し、配列を決定する。4)AQP5の核移行機序への低分子量GTPase Rab, Ran関与の解明、定常置へ誘導する因子の検索、移動に関与する細胞内情報伝達系の解明-管腔膜、細胞質、核膜、核質に分画し、各画分のAQP5を免疫沈降法により回収し、SDS-PAGEと各種抗体を用いたウェスタンブロッティング法からAQP5と複合体を形成している分子を解析する。3月に開催された第85回日本薬理学会への旅費は繰越して次年度4月に支払われる。
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