研究課題
メカニカルストレス、紫外線などの物理・化学的ストレスが免疫監視機構に与える影響とそのシグナル伝達機構について解析を行った。1)MKP-MのmRNA発現量が紫外線刺激によって極めて短時間に著明に低下することを見いだした。同様の現象は他の数種類のMKPにも認められたが、MKP-Mの紫外線反応性は他のどのMKPよりも強かった。興味あることにMKP-MのmRNAの発現量の低下はサリチル酸によって抑制されたが、COX2の選択的阻害剤であるセレコキシブには著明な抑制効果を認めなかった。この研究成果を国内学会で報告した。2)現在骨折治療に利用されている低出力超音波刺激(LIPUS)が、グラム陰性菌細胞壁成分であるLPSによる炎症誘導作用を抑制することを見いだした。モデルとして用いた骨芽細胞はLPS反応性に数種類のケモカインを発現するが、LPS誘導性のCXCL1およびCXCL10 mRNA発現亢進は、LIPUS刺激によって著明に低下した。またこれは超音波刺激が細胞内のTLR4-MyD88結合の解離を誘導するためであることを示した。この研究成果をBONE誌および国内学会で発表した。3)2)の解析を進める途中で、LIPUS刺激が骨芽細胞や間葉系幹細胞の分化方向に著明な影響を与えることを見いだした。LIPUS刺激は骨芽細胞や間葉系幹細胞の成熟骨芽細胞への分化を促進し、逆に脂肪前駆細胞や間葉系幹細胞の脂肪細胞への分化を抑制した。この研究成果をJournal of Biological Chemistry誌および国内学会で発表した。4)抗酸化作用を有するN-acetyl cysteine (NAC)による細胞処理を低濃度で長時間行うと、以前から報告されていた高濃度による免疫抑制効果とは逆に、LPS刺激マクロファージによる炎症性サイトカイン発現を促進することを見いだした。この研究成果をPLoS ONE誌で発表した。
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PLoS ONE
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