研究課題/領域番号 |
23592758
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菅原 由美子 東北大学, 大学病院, 助教 (30235866)
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研究分担者 |
酒井 梓 東北大学, 大学病院, 医員 (90463778)
佐藤 恭子 東北大学, 歯学研究科(研究院), 非常勤講師 (80547266)
菅原 俊二 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (10241639)
笹野 高嗣 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (10125560)
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キーワード | 口腔粘膜疾患 / シェーグレン症候群 / サルコイドーシス / 後天性表皮水疱症 / 口腔扁平苔癬 |
研究概要 |
本年度において、我々は下唇小唾液腺において病理組織学的にシェーグレン症候群とサルコイドーシスの合併所見がみられた症例を経験し、小唾液腺組織における免疫組織学的検索を行った。患者は68歳女性で、肺サルコイドーシスと診断され本院呼吸器内科で加療中であった。H24年8月に下肢の皮疹が出現し血液検査および皮膚生検にて抗SS-A抗体陽性を認めたためシェーグレン症候群を疑い当科紹介となった。臨床検査所見では抗SS-A抗体(+)、抗SS-B抗体(+)、唾液分泌量はガムテストにてやや分泌低下を認めた。3D MR-sialographyでは慢性的なごく軽度の唾液腺炎は疑われるものの、シェーグレン症候群やサルコイドーシスを疑う特徴的な所見は認められなかった。病理組織学的所見では下唇小唾液腺生検にて導管周囲のリンパ球浸潤が複数確認され、一部ではリンパ上皮性病変の形成がみられた。小葉内にはラングハンス型ないし異物型巨細胞を伴う非乾酪性類上皮肉芽腫の所見が認められた。浸潤するリンパ゚球はT細胞(CD3)、B細胞(CD20)および形質細胞(CD79a)が混在していた。Ziel-Neelsen染色で結核菌は陰性であった。肉芽腫を構成する類上皮細胞・ラングハンス型ないし異物型巨細胞ともにCD68陽性を示した。 また、口腔粘膜にびらん・潰瘍病変を呈する後天性表皮水疱症の症例を経験し、口腔粘膜における免疫組織学的検索を行った。患者は64歳、女性。主訴は口腔内のあれであった。血液検査では、抗BP180抗体(-)、抗Dsg1・Dsg3(-)であった。口腔粘膜の病理組織検査結果では一部上皮基底細胞層直下での剥離が認められ、類天疱瘡の診断にて本院皮膚科紹介する。2013年2月皮膚科入院、口腔内、喉頭、体幹四肢にびらん認め、3月に免疫学的検査で7型コラーゲンIgG ELISA(+)が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成25年度に口腔粘膜のびらん潰瘍病変である口腔扁平苔癬、シェーグレン症候群患者の口腔粘膜・唾液腺、後天性表皮水疱症患者の航空粘膜組織において、T細胞(CD3)やB細胞(CD20)、形質細胞(CD79a)レベルでの免疫組織学的検索はすでに行っているが、オートファジー、P2X7受容体、MHC class2の発現を免疫組織化学的に検索する事が未だ結論に至っておらず遅れている状態である。本来の到達目標としては、その結果を基にTh17分化誘導機構を解析し学会発表予定であったが、まだ病変組織での十分な発現を解析できる結果が出ていない。そのため、さらに他の種々の抗体試薬を用いて解析を行い進めていくこととしたため、当初の研究目的の達成度について遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
口腔粘膜のびらん・潰瘍病変として、口腔扁平苔癬、シェーグレン症候群の小唾液腺組織、自己免疫性水疱症の病変組織におけるオートファジー、P2X7受容体、MHC class2の発現を免疫組織化学的に検索するため、引き続き次年度でも研究計画を進めていくよう延長願いを行い、受理されている。次年度では、更に新しい抗体試薬を用いて免疫組織染色での解析を進めて行き、学会発表等、積極的に研究成果を国内外に発表していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に口腔粘膜のびらん潰瘍病変である口腔扁平苔癬、シェーグレン症候群患者の口腔粘膜・唾液腺、後天性表皮水疱症患者の航空粘膜組織において、T細胞(CD3)やB細胞(CD20)、形質細胞(CD79a)レベルでの免疫組織学的検索はすでに行っているが、オートファジー、P2X7受容体、MHC class2の発現を免疫組織化学的に検索する事が未だ結論に至っておらず遅れている状態である。本来の到達目標としては、その結果を基にTh17分化誘導機構を解析し学会発表予定であったが、まだ病変組織での十分な発現を解析できる結果が出ていない。そのため、さらに他の種々の抗体試薬を用いて解析を行い進めていくこととしたため オートファジー、P2X7受容体、MHC class2の発現を免疫組織化学的に検索するため、引き続き新しい抗体試薬の購入し免疫組織染色での解析を進めて行き、学会発表等、積極的に研究成果を次年度に国内外に発表していくこととし、未使用額はその経費に充てる計画である。
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