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2012 年度 実施状況報告書

64列MDCT perfusionによる潜在的頸部転移リンパ節可視化の試み

研究課題

研究課題/領域番号 23592759
研究機関新潟大学

研究代表者

林 孝文  新潟大学, 医歯学系, 教授 (80198845)

研究分担者 斎藤 美紀子  新潟大学, 医歯学系, 助教 (90401760)
キーワードCT perfusion / 口腔癌 / 頸部リンパ節転移 / 画像診断 / 造影CT
研究概要

平成24年度は、1症例(平成23度から通算5症例目)に対し、CT潅流画像撮影を施行した。
症例は50代・女性、右側口底癌(扁平上皮癌 T2N0)であった。初診のUSにて右側の上内頸静脈リンパ節が腫大像であったが確定的でなかったため、CT潅流画像を施行した。その結果、明らかな転移陽性所見は認められなかった。その後の経過観察で転移陽性所見は出現しなかった。腫大傾向にあった患側の非転移右上内頸静脈リンパ節実質部分に対してCT潅流画像解析を行った結果、単位時間当たりの組織内血流量の平均値は1.16 min-1であり、対側同名リンパ節の0.94 min-1と比較して1.2程度であった。
今年度は、昨年度の3症例のデータについて、転移リンパ節内の転移腫瘍組織の占拠割合との関係についてさらに詳細に検討を加えた(データが不完全であった症例1は除外)。その結果、転移腫瘍組織を含むリンパ節実質部分の組織内血流量(SC Flow)は個人差が大きいということ、このため対側同名リンパ節と比較することで転移の有無の判定に役立つ可能性が示唆され、転移腫瘍組織による置換が大部分に及んだリンパ節の場合には対側の1.4程度となる傾向がみられた。この研究成果は、第53回日本歯科放射線学会学術大会(2012年6月2日,盛岡市)、新潟大学医歯学総合病院臨床研究サポート事業課題報告会(2013年1月15日),にて報告を行った。平成24年度の成果については、第19回国際歯顎顔面放射線学会(2013年6月,Bergen, Norway)での報告を予定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究では、研究対象を、口腔癌術後の超音波診断による頸部リンパ節の綿密な経過観察において、後発頸部リンパ節転移が疑わしい所見がみられるものの、短径が1cm未満で明らかな中心壊死を有さず確定的ではない症例に絞っていた。このため対象が限定され、本年度は該当症例が無かったために、年度末近くになってから口腔癌の術前であっても超音波診断で上記のように疑わしいリンパ節を有する症例も対象に加えることとし、1症例が該当したため評価を行った。このように症例数が限られるため統計学的な解析が困難であることから、本年度は既存データを活用し個別のリンパ節に対して詳細な検討を行うこととした。具体的には、入力動脈の選択とそれによるSC Flow(組織内血流量)値への影響、健側の同名非転移リンパ節との対比、リンパ節内の転移腫瘍の占拠割合との比較検討である。入力動脈については、内頸動脈か外頸動脈かを選択することとなるが、既報では内頸動脈が部分容積効果の影響を受けにくく外頸動脈よりも望ましいとされているが、検討の結果、外頸動脈でも問題はなくむしろTEC(Time-enhancement curve)が安定していて利用しやすいことが示された。SC Flowの値は、健側の同名非転移リンパ節との比を取ることにより相互比較しうることが示唆されたが、thresholdを設定するには至らなかった。リンパ節内の腫瘍占拠割合については、病理組織標本での最大割面で画像的に腫瘍を抽出して算出し、SC Flow値との関係について評価した。特に、同一症例で2個の異なる占拠割合を示す転移リンパ節を有していた症例については、占拠割合が大きい方がよりSC Flowが大きい傾向がみられた(本症例については、1例報告として論文投稿を行った。)なお、今年度途中で研究分担者が退職したため、研究代表者が1人で研究を行う体制となった。

今後の研究の推進方策

平成24年度に得られた結果に基づき、引き続き研究協力者(Ziosoft(株)マーケティング部長・清水聡)と連携し、同社からワークステーションの貸与を受け、潜在的転移リンパ節の早期診断におけるsingle compartment kinetic modelの有用性、課題とその解決策について検討を行う。症例については今年度同様、口腔癌の術前症例も対象として加えることとし、症例数を増やすことを目指す。また今年度同様、既存データの活用を進め、転移リンパ節の病理組織学的解析を拡張することとする。具体的には、病理組織標本における血管領域の抽出と占拠割合の算出による血管床のデータとSC Flow値との関係について検討を行う。さらに、single compartment kinetic model以外のCT perfusion解析法も併用して比較検討し、相互に読み替えが可能か否かについても検討する予定である。このため、平成25年度は研究協力者や同様の研究を行っている研究機関との打合せをこれまで以上に頻回に行うことを予定している。また、本研究の成果について、日本歯科放射線学会第18回臨床画像大会(2013年11月・東京)及び第32回日本口腔腫瘍学会総会(2014年1月・札幌)にて公表し、論文としてまとめ投稿を行う予定としている。加えて、平成26年度以降への継続・ステップアップに向けて、本研究で利用しているMDCT(Multi-detector row CT)からADCT(Area-detector CT)への展開を考慮に入れた準備を行う。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度に引き続き、年間80万円(平成23年度~平成25年度の3年間で240万円)の借用料にてZiosoft社からワークステーション及びソフトウェアの貸与を受ける予定である。平成24年度の研究成果について第19回国際歯顎顔面放射線学会(2013年6月・Bergen, Norway)での報告を、また平成25年度の本研究の成果については、日本歯科放射線学会第18回臨床画像大会(2013年11月・東京)及び第32回日本口腔腫瘍学会総会(2014年1月・札幌)での報告をする予定している(いずれも本研究費から旅費を使用する予定)。また論文投稿のための英文校正・印刷費を使用する予定である。設備備品費にかかわる物品の購入予定はない。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 2012

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Clinical significance of CT perfusion in assessing the subsequent lymph node metastases in patients with oral cancer2013

    • 著者名/発表者名
      Takafumi HAYASHI, Makiko IKE, Yutaka NIKKUNI, Jun-ichi KOYAMA, Ray TANAKA, Kouji KATSURA, Hideyoshi NISHIYAMA
    • 学会等名
      19th International Congress of Dento-Maxillo-Facial Radiology
    • 発表場所
      Bergen, Norway
    • 年月日
      20130622-20130627
  • [学会発表] 潜在的頸部リンパ節転移への CT perfusionの応用2012

    • 著者名/発表者名
      林 孝文,池真樹子,新国 農,斎藤美紀子,小山純市,田中 礼,勝良剛詞,西山秀昌
    • 学会等名
      第53回日本歯科放射線学会学術大会
    • 発表場所
      岩手県盛岡市(岩手県民情報交流センター)
    • 年月日
      20120601-20120603

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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