研究課題/領域番号 |
23592761
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
西山 秀昌 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60243250)
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研究分担者 |
山村 健介 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90272822)
新国 農 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (80419316)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | T2値 / 咀嚼筋 / 自律神経 / 神経痛 |
研究概要 |
1.研究成果 神経痛を有する患者における咀嚼筋のT2値分布(T2map)のデータが蓄積されつつあり、現有するデータを解析したところ、特徴的な所見が見つかった。神経痛を有する患者での咬筋のT2値の左右差が、疼痛を有さない顎関節症患者での左右差と比較して大きかった。詳細は日本歯科放射線学会第31回関西・九州合同地方会にて発表した。顎関節症患者の筋痛においてもデータが蓄積されており、筋症状の有無・左右差について咀嚼筋T2値の評価を行い、発表した。 また、未発表データではあるが、神経痛を有する患者の咀嚼筋T2値が、交換神経節ブロックに伴い大きく変化した症例を経験した。本研究目的を遂行するに当たり、交換神経節ブロックを行う予定の患者を対象群として、ブロック前後での咀嚼筋T2値、筋電図の測定を行っていくことを考えている。2.結果の意義・重要性 神経痛患者での咀嚼筋左右差が大きいこと、および、交換神経節ブロックにて咀嚼筋T2値が大きく変化した症例を経験したことから、自律神経系が関与する咀嚼筋への血流がT2値に影響を与えている可能性が非常に高いと思われた。前述のように、交換神経節ブロック前後での咀嚼筋T2値、筋電図評価の研究を平行して行っていくことで、本研究の目的を達成しうると考える。また、顎関節症患者の筋痛症例についても咀嚼筋T2値の検討を行うことで、神経痛患者との差異や共通点が明らかになると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究を遂行するに当たり、ボランティアを対象とした自律神経系を刺激する実験系にては、カプサイシン含有薬の利用が困難であることから、温刺激・冷刺激を含め、複数の刺激を用いる計画に変更することとした。刺激系の変更のみであり、計画全体への影響度は少ないと考える。だたし、今年度は東日本大震災の影響で研究経費の利用が一時的に保留になったりしたことから、研究全体の進行がずれ込んでいる。次年度に実験系を確立し、筋電図データとの対比を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
ボランティアを対象とする実験系では刺激系をカプサイシンからオトガイ下部への温刺激・冷刺激へ変更して行うこととする。全体的に計画がやや遅れたため、実験協力者への謝金相当額を次年度に繰り越すこととした。また、筋電計については予定通り購入し、咀嚼筋のT2値変化が自律神経系によるものか、筋活動によるものかを判別するために用いる予定である。交換神経節ブロック前後で咀嚼筋T2値が変化した症例を認めたが、今後、神経痛を有する患者の治療前後での咀嚼筋T2値、筋電図の測定変化についても検討を行っていく。また、筋電計とT2値計測の組み合わせは、顎関節症患者での筋痛評価においても応用可能だと考えており、評価を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
ポータブルタイプの筋電計を購入し、自律神経刺激実験でのボランティア、神経痛を有する患者および顎関節症患者での咀嚼筋T2値に対し、筋活動の有無による影響を評価する。試験的に使用させていただいたところ、MRI検査室の近くでも安定した計測が可能であり、T2値計測前後での筋活動状態を比較検討することが可能であった。上記研究に伴い、ボランティアおよび研究協力者への謝金を支払う。現時点までの研究成果の発表を日本歯科放射線学会等にて行う。
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