研究概要 |
前年度までの研究で、CartducinがStAR(ステロイド産生急性調節蛋白)やP450scc(コレステロール側鎖切断酵素)などのステロイド合成に関わる蛋白の発現をライディッヒ細胞内で誘導してアンドロゲンの産生を促進することを明らかにし、その作用にはサイクリックAMP/プロテインキナーゼA/CREBを介するシグナル伝達経路が関与している可能性を明らかにした。 平成25年度の研究では、Cartducinの精巣での発現が個体の年齢に応じて変動しているのではないかという仮説の下で、マウス個体の周産期、思春期、成体期における精巣でのCartducinの発現の変化を調べた。なお、周産期、思春期、成体期はマウスではそれぞれ~2、4~6、8~週齢に相当するので、生後0,1,3,4,6,8週齢の雄マウスの精巣を試料としてパラフィン包埋標本を作製して免疫組織化学染色行った。その結果、0,1週齢マウスの精巣ではライディッヒ細胞にCartducinの発現が認められなかったが、3週齢に達する前思春期から弱く発現を開始し、思春期以降の4,6,8週齢では強く発現することが明らかになった。これらの結果からCartducinは思春期以降の精巣からのアンドロゲン(テストステロン)分泌に関わっている可能性が示唆された。 また、ライディッヒ細胞におけるCartducin遺伝子の発現調節機構についても検討を行った。しかしながら、ライディッヒ細胞培養系においてLH(黄体刺激ホルモン)やEGF(上皮成長因子)、TGF-alphaなどの因子によるCartducin遺伝子の発現変化を調べたが、Cartducin遺伝子の発現を増加させる因子は今までのところ同定するに至っていない。
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